木漏れ日の明暗差

長沼 油彩

大竹です。今回ご紹介させて頂くのは大人クラスの長沼さんの油彩作品です。
画面の半分を占めている木漏れ日が今回の作品のポイントとなる部分でした。光の違いを出すため、水色や黄色、ピンクなどを置いた実験的な作品となっています。陰になる部分も緑や青の半透明・透明色を重ね色が作り出されています。影の中にいる子供やはと、丸いオブジェにも影と同じ色をオイルで溶かし薄く重ねる事で木陰の中にいる説明がしっかりとされています。影と光のコントラストを意識する際、明暗差が重要となってきます。下の写真は彩度を0にして白黒に加工させて頂いたものです。


木漏れ日の明暗差が白黒に置き換えてもしっかりと出ていますね。メリハリがある絵は白黒に置き換えても見応えがあります。逆に、刺激の少ない柔らかい雰囲気にしたい場合は、この明暗差を少なくすれば良いですね。一度白黒で画面を作り、そこから色を乗せていくグリザイユ技法というものもありますので、興味のある方はそちらにも挑戦してみても良いかもしれません。

長沼さんの作品に戻ります。メインとなる木漏れ日を作っている立派な樹木の方も印象的で、伸びている枝のうねりからも力強さを感じます。手前をしっかり濃く色を乗せたので、奥の明るい風景も美しく視界に入っていきます。奥の丸いオブジェの配置も良いですね。自然物や影と光といった形が柔らかいもの・不定形なものの中にこうした人工物の重たいものがドンと入る事でメリハリにもなっています。空がほぼ葉に隠れていますが、横に広がる画面構成により窮屈さは感じさせず、むしろ画面の外の広がりも感じさせてくれます。

このご時世、こうした何気ない穏やかな風景がなんだか恋しくなってきますね。観る人のそうした気持ちも上乗せされて、鑑賞時の感情もより深い味わいになっていくようです。

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