作品から作者を知る
大竹です。本日ご紹介させて頂くのは大人クラスの長沼さんの作品です。最近の長沼さんの制作テーマである光と陰ですが、枚数を重ねる毎にその描写、表現が洗練されていっているのが分かります。キャンバスの上で木漏れ日として作られた絵の具達が、その役割に準じて自ら光を放っているかのようです。それは何度も繰り返し色を重ね、試行錯誤し、絵と対話を重ねた長沼さんに絵が応えているのでしょう。
また、光を際立たせる為の影の暗い色も美しく見えてきます。この世には汚い色はなく、汚く見える色の組み合わせがあるだけと私は先生から教わりましたが、まさにそうですね。光と影、互いが色を美しく引き立て合い、鑑賞者の視線を釘付けにします。
描きたい題材を選ぶ際、そのチョイスには作者の心境が表れるものですが、こちらの2枚はどうでしょうか。(勝手に考察しちゃいます)
例えば左の作品。奥の明るく照らされているのは何かのお店でしょうか。人も何人か歩いていますが、反対に手前の影の方には人は見当たらず、ひっそりと2つの自転車が置かれています。本当は自転車に乗って走るように、遠くへ出かけたいけれど、こんな時勢に大っぴらにそういう事は言えないし、実行しにくい…と心の奥に欲求をしまい込むように、1つの自転車は木に隠すように置かれているのでしょう。でも、やっぱり出かけたい!という気持ちが全面に出ているのがもう一つの自転車でしょうか?笑
右の二ヶ領用水の作品も見てみましょう。川は奥からこちらに向かって流れており、奥は開けて明るい空が覗いています。こうしたトンネルのような構図は、悩みからの脱却、先へ進みたいという希望のようなものも感じます。向かい風のように川の流れもこちらに向いているので、逆境の中にいるのかもしれません。しかし、そこまで激しい流れでもないので、心地よい苦労なのかもしれません。私にはとてもポジティブで、希望ある作品に見えてきます。
絵の見方は様々ですが、描かれた風景の描写そのものを楽しむ他にも、作品を通じて作者の心境、内面に思いを巡らすのもまた鑑賞方法の1つだと思います。(当たっているかは別として!笑)長沼さん、思い当たる節はありましたか?
ちなみに上記は私が勝手に考察したものですが、カラーセラピーというメンタルケア方法も存在しています。相談者に指示に従って絵を描いてもらい、それによって深層心理や悩み、不安を探る、という方法です。私も大学の授業でやりましたが、ちょっとした心理テストのようで面白かったです。
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