ふしぎな夢の光景のよう
長沼さん 油彩
まず見た人が強烈に印象に残るのはその色でしょう。鹿の赤と森の緑が補色効果でより鮮やかに見えてきます。また手前は暗く、奥を鮮やかで明るい色合いにした事で、奥行きと共にこの森の神秘性なども感じられます。ストライプの様な森の木々の表皮の表現も味わい深いですねぇ〜…木によって微妙に色や表情が違うので、作品を見るたびに発見がありそうです。3頭の鹿達の陰影の入れ方も魅力的です。漲る生命力を感じさせる赤色と、体の流れを表した筆のタッチが見事にマッチしています。その3頭の並んだ鹿の後ろにはも鹿が森を駆けているのが見えますが、これらは3頭の鹿、というよりも左から右へと駆けていく1頭の鹿の軌跡にも感じられ、絵の中で時間の流れがあるようで面白いですね!足元の草木は、表現に悩んだ末にアンリ・ルソーの『夢』から引用しています。赤い鹿たちや、ほんのり発光しているかのような森、残像が連なる鹿の姿など、どこか夢の様な不思議な雰囲気を持つこの作品にはぴったりですね。
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