内面の表れ
永瀬 油彩
人の血肉、臓器を思わせる様な赤色の背景とは対照的に、女性の肌は青白く、洋服も無地のものでその人の性格、人格を感じさせません。その生々しさと生気の薄さの対比が面白く、見る人を内に引き込む様な引力を持っています。物思いにふける女性のその思想が背景に表れているのでしょうか、無表情ながらもどこか怒りを含んでいるも見えてきますね。
それぞれの色は何度も試行錯誤を繰り返し、幾重の重ねられた絵の具によって、アンティークのように長い年月が経過していることを感じさせます。特に手や指は感情を繊細に表現する重要なモチーフの一つですので、形の修正は念入りに行っておりました。服の生地の乾いた質感、厚みの表現も見事です。よく見ると赤や黄色、紺といった様々な色が使われているのが分かりますが、それらをまとめて見た時に我々の目は「白い服だ」と認識できるのですから不思議ですね。
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