日常の愛おしさ

長沼 油彩
 

大竹です。今回ご紹介させて頂くのは長沼さんの油彩作品です。こちらは元住吉から新川崎へ向かう途中にある、三菱鉱業の工場を描いています。
ジムへ行く際の通り道だそうですが、作者の日常の景色に対する愛情が伝わってきます。毎日同じ景色が当たり前に存在する事の愛おしさのようなものでしょうか。連日のニュースでウクライナの破壊された街並みを見ると、よりそういった気持ちになってきます。

錆や汚れといった質感と油絵はやはり相性がいいですね。ペインティングオイルで絵の具を薄めに溶いて、半透明の色セロハンを重ねるように塗っていく事で、サビや油が染み出した汚れを表現しています。メインとなる工場の描写も魅力的ですが、手前から奥へと明るくなっていく道路や向こうからやってくるトラックも良いですね。人通りもない静かな道に、トラックが通り過ぎていく音だけが聞こえる情景が頭の中で再生されます。晴れた空ではなく、少し重い雲に覆われているのもまた味わい深いですね。雲には所々にオレンジや黄色といった色が加えられています。地面や植木に使われている色を少し入れる事で、画面全体に統一感が出ていますね。

こうした絵画を見たり描いたりしていると、日常で目にする建物や風景に「ここって絵のモチーフにしたら素敵かも?」「この風景、あの作家の作品に似ているな」といったふうに、見る目が変わってきたりします。見慣れたものの新たな一面を発見する様で楽しいですね!





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