2つのパンジー


長沼 油彩
大竹です。今回ご紹介させて頂くのは、大人クラスの長沼さんの作品です。ご自身の庭で育てているパンジーをモチーフに制作されています。
今回は花びらの薄さ、明暗の表現を目標に描かれていました。水で溶いて薄く塗り重ねる水彩と違い、元々がもったりとしている油絵の具で薄いものを表現するのは苦労されたかと思います。2枚の作品からは、花1つ1つを手を抜かずに隅々まで描き切っているのが分かりますね。左の作品は真ん中にメインの花を大きく置いた日の丸構図となっています。真ん中にメインのモチーフを置いた左右対称の構図は、動きのない絵にも見えてしまう危険もありますが、長沼さんの場合はよりメインのパンジーを目立たせる為に工夫がされています。花の形、位置は全て別の写真から組み合わせ、緻密にバランスを組み立てています。背景は壁や花壇の線で面を作り、平面的な要素を作りつつも他の花や草を置き固くなりすぎないようになっています。その緩急のつけ方が面白く、日の丸構図のつまらなさを払拭してくれていますね。
右の作品は左の作品と同じモチーフながら、その置き方は対照的です。中心から右にずらし、空間の広がりを作っています。その広がった背景には何も置かずに壁と青空のみで仕上げられています。左の作品よりも開放的でありますが、不思議と寂しさのようなものは感じさせず、爽やかで心が晴れるような気持ちになりますね。
どちらも同じモチーフを扱いながらも、構図によって見え方・感じ方がガラリと変わる面白い作品だと思います。(構図の効果として、小学生の教材見本にしたいかも?)ぜひ2つ並べて鑑賞して頂きたく思います。
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