小学生油彩2022!part2
大竹です。引き続き小学生の油絵のご紹介をさせていただきます。今回は全て3年生の作品です!低学年と高学年の境目である3年生は、技術の向上の兆しが見えてきています。4年5年と学年が上がる毎に、その実力がさらにアップしていく事でしょう。しかしそれは、幼い頃にしか描けないであろう自由な線や色使いが失われていく事でもあります。今の内にしか見られない子供特有の魅力的な作品をお楽しみ下さい。
なゆ(上段左・3年)映画インディ・ジョーンズの舞台でも有名なヨルダンのペトラ遺跡を描いています。切り立つ岩壁を削って作られた遺跡の色を表現する為、赤茶色系の色をふんだんに使っていきました。その色の風合いがなんとも味わい深く、また無機物の建物から愛らしさの様なものさえ感じられます。地面は白で塗られているのも遺跡の茶色と相まってすごくおしゃれですね!こちらを向いて写っている赤い服の人が真ん中に入れられた構図も大胆で面白いです。(幽霊がこちらを見つめている様にも見えるちょいホラーっぽいのも…笑)細部はクレヨンを使用しましたが、油絵の具によってできた凹凸にクレヨンが引っかかる事でできた掠れた線もまた絵にマッチしていて、選んだ題材も油絵にぴったりでしたね。しかし、小3にして遺跡に魅力を感じるとは…シブい!なゆさん、中高生になったら廃墟も好きになりそうだなあ。
しおん(上段真ん中・3年)海岸を歩く幼い頃の自分の写真を元に制作しています。エメラルドグリーンの海と赤い服の対比がいいですね〜。向こうへ歩く姿も、まだ足取りがおぼつかない小さな子供の動きまで見えてくる様です。影の形も良く観察して描いけていますね。波が寄せてくる様子や、海の浅い部分と深い部分を色の濃淡で表現されており、見ていると優しい波の音が聞こえてくるようです。空の大きな雲も上は光が当たり明るくなり、下は影でグレーになっているので立体感もバッチリです。何より画面全体に濁った色がないのが素晴らしいですね。色の塗り方から作者の丁寧な制作が感じられます。普段は黙々と職人の様に制作に向かっている為、かなり大人っぽく見えています。(この記事を書いている今もまだ3年生だった!と毎回驚いてしまいます)作品からも、小学3年生らしい子供らしさを残しつつも、普段あまり口に出さない事を色々考えているんだろうなあと感じます。
こはる(上段右・3年)・・・岡本太郎の母の塔と自分自身を描きました。空の色は同じ色の部分はないと言えるほど、様々な青を作って塗られています。独特な筆使いも合わさって色のパズルの様で非常に魅力的ですね。母の様のてっぺんにいる人たちも伸び伸びと身体を伸ばしており、なんだか楽しそうに見えてきます。塔の部分も立体感を出すために陰影を細かく追っていったので、塔の大きさもしっかり伝わりますね。サインで黄色がピリッとアクセントとして入ったことで画面全体も引き締まって見えます。手前でピースしている自分自身も、マスクで覆われているため表情は伺えませんが、体全体で楽しそうな様子が表現されています。絵全体が喜びに満ちており、きっと作者の毎日も明るいのだろうと思うと嬉しく思います。
たかのぶ(下段左・3年)秋田県の大きななまはげ像を見ている自分を描いています。なまはげの体の色合いなど素晴らしいですね!腰に巻かれた藁の色なんて赤や白、ピンクまで使われています(実際の写真では殆ど黄土色)。その自由な色使いがまた大人には真似のできない魅力でしょう。目を見開いて今にもこちらに襲いかかってきそうな表情やポーズも、迫力満点に描けていますね。何よりなまはげというチョイスが渋くて素晴らしい!背景は点描画の様に細かく色をのせていき、離れて見たときに色が濁らずに混ざって見えてまた美しいですね。手前にはなまはげを見るたかのぶさん自身が描かれています。作者本人も授業中もマスク越しでもわかるほど常にニコニコしており、毎日がとても楽しそうに見えます。彼のこれからの制作物も非常に楽しみですね。
りつか(下段右・3年)遊園地のメリーゴーラウンドの馬に乗っている自分を描いています。とにかくお喋りが大好きで、誰にでも積極的に話しかけて場を明るくしてくれます。そんな作者の人柄がよく現れた作品ですね。鮮やかで明るい色使いからは遊園地で楽しく過ごす感情が伝わってきます。人の顔もかなり難しいですが、何度も塗っては描き直してを繰り返し完成させました。顎マスクからコロナ渦である事が伺えますが、そんな中でも明るく過ごす様子に我々大人も救われる様です。メリーゴーラウンドの馬の白い部分も、影に淡い青緑色を使い全体の鮮やかさを保ったまま明暗をつけています。影をただ黒を混ぜて暗くするのではなく、似た系統の濃い色を使ったり青色を使っていくと、暗い部分も色彩が豊かになります。
見ていると作品の中で手を振る作者から、元気や明るさを分けてもらえるようなポジティブな魅力に満ちている1枚です。
コメント
コメントを投稿