小学生油絵2022!part5
大竹です。小学生の油絵紹介part5です。毎回じっくり書かせて頂いているので、だいぶ時間が空いてしまい申し訳ないです。
今回は中学年から高学年への移り変わり、4~5年生の油彩をご紹介します。
ゆうか(左上/4年)
気持ちよさそうに原っぱに横たわるわんちゃんがこちらをじっと見つめています。ピンと立った耳が可愛らしいですね。体毛の細かな変化をしっかりととらえ描写できています。小学生のうちは濁った色を嫌い原色の鮮やかな色を好む傾向にありますが、ゆうかさんは混色された鈍い色やグレートーンの色を上手く使っていますね。中々渋い色使いです。背景の柔らかな緑の色使いも、このワンちゃんの穏やかな心の内が投影されているようです。奥の花や名前の赤がアクセントになっており、緑や黒などの色合いの中で画面をキリッと引き締めてくれています。しかし制作中は講師(私)vs作者のバトルがあり、「こうした方がもっと良くなる!」という私と「ヤダ!!直さない!!!」とこだわりを見せる作者で何度も描き直しが起こっておりました。笑 そんなバトルが繰り広げられながらも、おしゃべり好きでいつも教室を明るくしてくれる作者の人柄が表れているかのような、穏やかで優しい1枚となりました。結果オーライ◉
ゆうし(左下/4年)
雄大な滝と奥にビルが立ち並ぶ、ちょっと不思議な取り合わせの風景です(FFの世界みたい!)
空の暗雲も紺色や青も混じった美しい色合いに仕上がっていますね、素晴らしいです。筆でポンポンと叩くように絵の具を乗せていったので、雲のモコモコした感じもよく表現されています。雲の合間から覗く夕焼けも光の柱の様で幻想的ですね。雲をグッと暗くしてある分、夕焼けの光がより輝いて見えてきます。
大量の水が落ちていく滝の勢いや、水のしぶきで霧がかかっているかの様なぼんやりとした空気もよく表現できていますね。滝の深い藍色と、流れる滝のストライプの色合いがまた魅力的ですね。薄い水色から深い藍色まで、これだけの種類の青色を作れればもう描けない色はないでしょう。色への感覚も良いのでしょうね。
4年生で遊び盛りであるお年頃ながら、普段の教室での制作中の雰囲気はまるで寡黙な職人のようです。これからの作品も楽しみにしております。
あやね(右下/4年)
ハリネズミのコロンとした形がなんとも可愛らしいですね。ハリネズミの針の色も黒や赤茶色、白やグレーなども混ざって良い色合いでまとまっています。細かな点描からは刺繍のような雰囲気も感じられますね。Tシャツのワンポイントとかにこのハリネズミが印刷してあったらすごく可愛いと思います。というか、このままこのハリネズミを主人公にして絵本が作れちゃいそう!本物に近いというよりも、ぬいぐるみのようなデフォルメされたキャラクターのような魅力がありますね。針だけではなく、草木の1本1本を絵の具をのせて表現しています。光は真っ白で塗るのではなく、薄く緑を混ぜて強くなりすぎないよう工夫されています。地面も光が当たるため、明るい黄緑が使われているのもよく観察できていますね。
平面絵画も立体工作もなんでも楽しんで取り組んでいるあやねさん、描き方を見ていると作者の穏やかで素直な性格が伝わってくる様です。
りくと(右上/5年)
江ノ島の海を背景に江ノ電が横切る風景を、光の粒を1つ1つを捉える様に描いています。印象派のような筆使いですね。まさに彼が元の絵を見て印象に強く残ったものから描かれているのでしょう。どことなく懐かしさも感じられるような、柔らかい雰囲気を纏っています。踏切までに至る道は青系のパステルカラーで作られ、全体を柔らかな雰囲気にしています。奥の海は太陽を反射してきらめき、空は暖かなクリーム色で作られており、画面に描かれていない太陽の存在を感じさせてくれます。脇道の土の色合いも綺麗ですね、あえてグレーのような濁った色を入れることで、明るい部分の色がより引き立って見えています。風景が柔らかいパステルカラーでまとめられている分、奥の江ノ電は少し重い色で描かれているので、主役らしくクッキリと浮かび上がっていますね。
江ノ島には昔よく行っていたのですが、この絵を見ていたらまた行きたくなってきました。江ノ島って、夏休みに遊びに行く親戚の家のような懐かしさもありつつ、観光地の賑やかさも合わさった不思議な居心地があるのですが、そんな江ノ島の雰囲気がよく表れている1枚だと思います。
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