小学生油絵2022!ラストです
ここね(上左/6年)手前から奥へグンと引き込まれる構図となっています。左右対象の構図は安定しすぎてつまらなくなる傾向にありますが、ここねの作品は道の先にある鳥居を強く印象付ける意味を持たせられています。空、草木、石階段と言った自然物は様々な色を入り混ぜた反面、左右の灯籠や鳥居は色をシンプルに仕上げて対比させているので、画面の中で朱色がより引き立っていますね。草木も緑だけではなく、茶色などの濁った色を入れているのもまた面白いですね。2ヶ月では終わらず、9月まで制作していましたがそれだけ時間をかけて制作した甲斐がありました。しかし、見れば見るほど絵の中の世界にのめり込みそうになりますね…こうしたモチーフに惹かれるのもまた高学年らしく思います。来年は中学生になりますが、どんなものに惹かれるのかが楽しみにですね。好き嫌いがはっきりしているタイプですので、より自分の好みに敏感でいて欲しいと思います。
かんな(上真ん中/6年)カラッと晴れた青空と海が気持ちのいい1枚です。空は筆の跡を残さないグラデーションで作られているのに対し、海は筆跡を残して波の揺らぎが表現されています。に手前の船の描写もよく観察し描ききっています。大人の絵の中に混ぜても小学生の絵だと分からないのではないでしょうか?形の取り方も上手いですが、色の選択も大人びています。日差しの強い風景の中で、陽光を受けたいるであろう船や雲の白がとても眩しく感じます。青、白、黄土色の中で船の朱色がアクセントとして入っているのもバランスがよく、またお洒落に見えますね。
雲は下に溜まっている分上部は抜ける様に青空が広がっており、その開放感がこの船たちのこれからの航海が明るいものと予感させてくれます。彼女の未来を暗示してくれているかの様ですね。
きぬこ(上右/5年)まだ子供なのでしょうか、小柄な馬が柵の中にいる風景です。体毛の微妙な変化をとらえながら、筆をポンポンと置くように絵具を塗る事で短い毛を表現しています。体の線の細かい凹凸もよく観察して描かれていますね、素晴らしいです!少しぽやんとした馬の表情も可愛らしく、見ていて癒されますね。地面の乾いた砂の表現にも苦労していましたが、こちらも色を細かく変化させ、主役の馬と馴染むように手を入れています。地面の影は油を多めにして絵具を溶かし、半透明にして塗る事で影らしくしています。きぬこさんは上手くなりたいという意欲が高く、様々な技術をスポンジの様にスイスイと吸収していっています。今は純粋に描く事を楽しみつつ、いずれはどんな事を表現したいか?その為にはどのようにしたら良く見えるか?といった絵に対する考え方も身につけて言って欲しいと思います。来年の油彩も楽しみにしております。
かのん(下左/6年)夕焼けの街を高所から見下ろした風景を描いています。陽の沈む空はまさに赤く焼けた色をしており、周りの鈍い色をした雲とも相まって鮮やかに見えています。街並みは1棟1棟丁寧にパズルを埋めていくように描いていっており、その集中力と丁寧な仕事ぶりには我々大人も見習いたく思います。大人びた空の描写と、どこかミニチュアのような可愛らしい雰囲気を持つ街並みの組み合わせが面白く、これから小学生から一歩成長する中学生となる今の時期のかのんさんにしか描けない油絵でしょう。子供の頃は夕焼けは1日の終わり、遊びの時間の終わりを告げる風景でもありましたので、そんな寂しさをも感じさせますね。かのんさんは制作に対するこだわりや自分の好みがしっかりしているので、自分が惹かれるものにどんどん焦点を当てて制作していって欲しいと思います。
ことね(下真ん中/5年)美味しそうなフロートのツーショットです。苺とブルーハワイでしょうか、鮮やかな色合いが可愛らしいですね。ひんやりと冷たい温度も感じられる様です。上に載ったたっぷりのアイスクリームも美味しそうですね!影の描き方でぐるぐると巻かれた形がよく表現されています。見ていると甘いものが欲しくなってきてしまいますね…。場所は車の中だったので、少し暗かったのですが、メインの鮮やかなフロートに合わせて背景も青を中心とした明るい色でまとめたれています。フロートを持つ手には苦戦していましたが、人の肌の色の微妙な色合いをよく追えていますね。さすが高学年の観察力です。色をまとめるのも上手なので、カラフルなモチーフに挑戦してみても良いかもしれませんね!
かりん(下右/5年)階段の上からこちらを見つめる瞳が可愛らしいですね。真っ黒な体毛は黒だけではなく、青や茶色、赤なども使用して色彩豊かにまとめられています。細かく色を塗った部分と、ざっくりと描いた部分が入り混じり、油絵らしい良さが出ていますね。おしゃれなカフェに飾ってありそうです。背景のグレーとオレンジの組み合わせもまたいいですね〜アトリエには汚れても良い格好で毎回着ていますが、きっと普段の服の色選びのセンスも良いのでしょう。仕上げにはクレヨンを使用し、輪郭がぼんやりしていた部分を引き締めています。そのおかげで、緩い雰囲気がありながらも、ダレすぎることのない良いバランスが保たれていると思います。
見ていると思わず撫でたくなるような、癒され穏やかになるこの作品は、授業中は学年関係なく周りの人と会話をしながら教室を明るくしてくれる作者の性格が表れている様に思います。
今年も作品を通じて沢山の人の考えや思いに触れる事が出来、こちらも色々なことを考えさせられ楽しかったです。来年も皆様の楽しい制作のお手伝いをさせて頂きたいと思います。
それではみなさま、良いお年をお迎えください!
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