神域に迷い込む


大竹です。今回ご紹介させて頂くのは、長沼さんの油彩作品です。
長沼さんが得意とする緑の色がふんだんに使用されている1枚です。こちらはうねる様に削り取られた岩肌と、そこから流れ落ちる水が陽光を受けて輝いているなんとも神秘的な光景です。古来より、人々が自然に神を見出してきたのも納得ですね。左下の滝を見上げる少年が、まるで神域に迷い込んできてしまったかの様にも見えてきます。左側の崖が大きく前に迫り出し、視界を妨げている部分もまた、隠された領域を除いているかの様な感覚になりますね。
この作品を見た人の目はまずは滝に留まり、落ちた先の川のを辿って奥にいる少年へと向かっていくでしょう。その視線誘導の流れも良いですね、自然と奥へと見る人を導いてくれます。
岩肌はほぼ黒に近い色で作られていますが、そこもよく観てみると様々な色によって構成されているのが分かります。この岩場の地層も、途方もない年月の積み重ねにより出来上がっているのですから、そうした時の流れをも色の作り方で感じる事が出来ますね。
岩肌がグッと暗い分、滝や木漏れ日の光がより際立って見えてきます。この明暗差によって、人の目が惹きつけられる迫力ある画面になっているのでしょう。

長沼さんはこうした筆やペインティングナイフと相性の良い自然の風景が作風とマッチしていますね。ご自身の持つエネルギーが作品にも分け与えられている様に思えます。

 

コメント

このブログの人気の投稿

絵画教室アトリエパステル ブログ開設

小学生からの成長

ポチャンと落ちる