自然物、人工物


大竹です。今回ご紹介させて頂くのは大人クラスの長沼さんの油彩作品です。
 横浜にある旧横浜商工奨励館を描いています。1階がフランス料理店だそうで、中には結婚式場として使われる施設もあるそうです。高級ホテルの入り口のような格式高い作りと、それに負けじと金色に輝くようなイチョウの組み合わせが調和した1枚となっています。
建物にくっ付きそうなほど伸びた枝は、建物にまでその黄色が反射しています。日差しの強い日だったのでしょう、地面に落ちる陽光はその日の温度まで伝えてくれるようです。
太陽の光を受けて輝くイチョウを表現するために、暗い色味の面積が多く作られています。光を描きたい場合、光を加筆するだけではなく影をより暗くする事で、対比によって光を明るく見せる事が出来ます。地面にこれだけの影を落とすのですから、相当葉が茂っているのでしょうね。イチョウの色は原色を思わせる強い黄色が印象的ですが、その反面建物の方は絵の具を練りに練った様な色合いで作られています。絵の具をオイルを多めに溶いて薄く色を塗り重ね、色の深みをじっくり引き出しているのでしょう。少しずつ変化する色彩を楽しむ事が出来ます。

右側はカッチリとした人工物、左側は柔らかな自然物がまるで対立するかのように向かい合い、その間には両方を享受する我々人間が歩いています。私はあまり自然が身近ではなかったので、どちらかというとフランス料理屋さんに惹かれてしまいますが、都会の情報量に疲れた方は温かみのあるイチョウの木が目に入るのでしょう。みなさまはどちらに惹かれましたか?

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