星峠の棚田

長沼 油彩

大竹です。今回ご紹介させて頂くのは、大人クラスの長沼さんの作品です。こちらは新潟県の十日町にある星峠の棚田を描いています。にほんの里100選にも選ばれている景色であり、実際にご旅行で現地に行かれたそうです。

立ち込める雲海が陽光を受けて色付く様子は、まるで神の国のような神秘を感じます。油彩で半透明なものを表現するのは絵の具の性質上少々難しいのですが、雲の厚みのある部分と薄く透けている部分を、幾層も絵の具を塗り重ねる事で表現されています。
水が張られた棚田は大きな水鏡となっており、空の色を映し出していますね。水田の数は200枚以上あるそうで、この雲海の下にもまだまだ水鏡が隠れているのでしょう。あえて一部分が隠されている事で、見えない部分の想像が掻き立てられる為かより奥へ広く続いているように見えてきますね。太陽の光が文字通り地面へと差している様子も美しいですね、光という形のないものがよく捉えられています。

描写の多い棚田と比較して、空は雲一つないフラットなものとなっていますが、オレンジから青への色の移り変わりを丁寧に追う事で薄っぺらい空には見えず、しっかりと空気の層を感じる事ができますね。描写の少ない単調に見える部分こそ、どのように魅せればいいかを考えなくてはなりません。(シンプルなものほど、絵として魅せるには難しいからです)

現地に取材に行った甲斐もあり、作者の描きたいもの・主題が明確な1枚となりましたね。こちらの作品が描きあがった翌週に疲労でお休みされていたので、それほど力を入れて描かれていたのでしょう。まさに命を削って描かれてると言えます。

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