穏やかに流れる時間

平井 アクリル

 大竹です。今回ご紹介させて頂くのは、チケット制の平井さんの作品です。毎月1回お越し下さり、着々と制作を進めていかれました。乾燥が早いアクリル絵具は、素早く描くのに向いていますね。

ゴツゴツとした川辺の岩肌が何とも魅力的ですね。普段歩いている時には地面を気にして歩く事は殆どないと思いますが、このように魅力的に描かれた作品を見た後だと、普通の地面も面白いモチーフとして目に映ってくるでしょう。アクリルの濃さを調整し、絵の具を厚く塗る部分と、薄く溶いてほんのり色味を乗せた部分の使い分けも見事です。
また、空の光が反射する川の色合いも美しいですね。殆どが暗いグレーに近い色で塗られており、その中には青や緑、黄色といった様々な色が含まれています。美しい色というのは、鮮やかなものだけではないことが良く分かりますね。
左奥の山々は輪郭をかなりぼかしつつ、色合いで紅葉に入りかけの緑であることが伝わります。制作の際、どこまで描いて、どこまでは描かないかのバランスは難しいですが、平井さんは主役(魅せたい部分)とそうではない所がブレずに描き分けられています。
手前から奥へと続く川は鑑賞者の視線を導き、密度の高い下画面から上の空へと向かう事で開放感をも与えてくれるようです。穏やかな川に浮かぶ舟は、これから出発するのかそれとも戻ってくる所なのか分かりませんが、この作品の柔らかな雰囲気を担ってくれているのでしょう。

月に1回という限られた時間の中で、毎回しっかりと制作の歩みを進められているので、意外にもハイペースな制作となっています。是非これからも、精力的に制作を続けて頂けたら嬉しいです。




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