黒いネクタイの鳥
大竹です。今回ご紹介させて頂くのは、大人クラスの松本さんの水彩画です。
ほんのりと緑がかった羽に、黒いネクタイ模様が特徴のこの小鳥はシジュウカラですね。コロンとした愛らしいシルエットがよく捉えられています。
水彩は一度色を塗ってしまうと後戻りが出来ない(消したり、塗りつぶして直すのが難しい)画材ですので、どの順番・タイミングで色を塗っていくかある程度計画性が必要となります。松本さんは自身が持っている絵の具の色見本を自作し、同じ色でも混ぜる水の量の違いや、混色の結果を事前に研究して制作に取り組まれていました。
羽毛に覆われた柔らかい体を表現するため、滲みと筆跡を残す描き方のバランスに気を付けながら進められていました。水彩絵の具は重ねれば重ねるほど色が濁ってしまうので、色をのせすぎないよう手を引くタイミングも見極めが必要です。結果、触った時のふわっとした柔らかさが良く伝わる出来上がりとなりました。
また、足元の花は鳥とは違った質感を表現するため、塗り方を変えたり色鉛筆で加筆しています。花びらの薄くひらひらと風に揺れそうな様子や、それよりも固そうな葉の厚みをよく観察して描きわけられていますね。主役の鳥に近い中央部分はしっかりと描き込み、端にある葉や花は薄く仕上げてメリハリを付けているのも良いですね!
教科書や我々講師の指導があるとしても、やはり実際に描くのは自分自身なので、実際に絵の具に触れて絵の具の性質に慣れていく必要があります。松本さんの貪欲に技術を吸収されていく姿はとても楽しそうで、その制作姿勢は作品からも伝わってきますね。
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