揺らぐ景色のトンネル

長沼 油彩

大竹です。今回ご紹介させて頂くのは、長沼さんの油彩作品です。新潟県の十日町市にある清津峡渓谷のトンネルを描いています。このトンネル内部はミラー状になっており、床は薄く水が張っている為に周りの景色が映り込むそうです。

トンネル内部の写り込みや水面の揺らぎ、そしてトンネル向こうにある青空が美しい1枚ですね。水面の景色が揺らぐ様子は特に力を入れて描かれており、この洞窟が持つ独特な時間と空間が表現されています。全体的にサイドが低い色合いで作られているので、中心の青空が鮮やかに引き立っていますね。奥の風景も右側が暗く、左側が明るく作られているのもかなり思い切っていますね!油彩で暗い部分を作るのは難しいのですが、他の色を混ぜて黒を弱めたり(チューブからの出したそのままの色では強すぎる為)、黒の上から他の色を重ねたりして調整されています。トンネルの先はフェンスが設けられており、おそらくその先の道はなく渓谷になっているのでしょう。トンネルの先が崖になっている、というのも珍しい風景ですね。奥で風景を眺めている観光客たちも、その光景に圧倒されているのでしょう。

天井に写る捩れるような景色も面白いですね!一見苔の様にも見えますが、よく見てみると渦を巻く様に色が入り組んでいるのが分かります。向こうの風景の崖の色合いもよく観察して作られています。こんな険しい断崖をトンネルから望めるというのも面白い場所ですね。題材も合間って、不思議な世界への入り口の様にも思えてきます。天井にも空の水色が入っていますが、これは青空が水面に写り込み、その光が更に天井に反射し、最後には我々の目に入ってくるという光のリレーになっています。今回は長沼さんの中に入った風景が、更に絵画に描き起こされて鑑賞者の目に入っているので、そのリレーは更に複雑になっていますね。

この風景は、四季折々でかなり様変わりするそうで、秋になれば紅葉でオレンジ色に、冬になると雪が積もり洞窟内も真っ白になる様です(すごく寒そう…)。モネの積みわらのシリーズの様に、同じ場所・題材を時間や季節の変化をテーマに追っていくのも面白そうですね!










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