制作の足跡

黒瀬 水彩画(2月制作・4月制作)

大竹です。今回ご紹介させて頂くのは大人クラスの黒瀬さんの作品です。
とても勉強熱心で、水彩の風景画から始まり人物の練習(クロッキー)やクレヨン画まで様々な題材に取り組まれています。今回はその中からいくつかピックアップしてご紹介させていただきたいと思います。

まずは上画像左の作品。エストニアの町並みを水彩で描いています。少し古ぼけた石畳の道が奥へと続き、脇には柔らかな風合いの黄色い建物が並んでいます。そのさらに奥にはアレクサンドル・ネフスキー大聖堂が見えていますね。石畳やレンガの細かい描写から逃げずにしっかり描ききっており、密度の高い1枚となっています。水彩画は色を重ねすぎると濁ってしまいますが、それもなく透明水彩絵の具の美しい色合いが引き出されています。
大通りではなく、人通りの少ない路地裏っぽい場所のチョイスも良いですね!

そして隣の風景画は、先ほどのエストニアの町並みから2ヶ月後の作品です。比べると、色に深みが増しているのが分かります。また、絵の具の濃淡で雲の立体感を表現したり、風景の奥行きも作られています。混色で作れる色幅も増えたのでしょう、あえて燻んだ色合いを入れる事で(奥の森の木々など)、空や手前の地面の鮮やかな色がより引き立っていますね。
雲は紙の白を残して描いた部分と、メラニンスポンジ(激落ちくん)で擦って作った部分が混在しています。雲が厚く膨らみのある部分と、薄く消え入りそうな部分を上手く描き分けられていますね!建物の陰影もよく捉えられており、明暗によるメリハリが生まれています。画材の扱いにも慣れてきているのが伝わりますね。

 黒瀬 (クレヨン画 6月制作・水彩画 8月制作)

3枚目のレモンの作品は硬いボードにクレヨンで描かれています。水彩とはまた違った素材ですが、ボードにもともと色がありますのでクレヨンにも相性が良い支持体ですね。瑞々しいレモンに若い葉っぱ、それらを空の青色がまとめ上げています。シンプルな画面な分、色の混色やタッチに工夫が見受けられますね。背景の青は単調に塗るのではなく、筆跡の方向や色合いを変化させています。レモンは陰影を描写する程度に留めた分、葉は何色も色を重ね、葉脈まで細かく描写されています。全体的に粗密のバランスが上手く取られていますね。
周りはマスキングテープで保護していたので、ボードの色がそのまま残っています。これもまた枠の役割をしているようで面白いですね。

いよいよ最新作の水彩画です。フクロウとミミズクの2匹が、昼と夜の対で描かれています。
左のフクロウは白い体毛のため、紙の白を残しながらでの制作でした。白い部分は描かない分、体の模様や陰影で立体感や白い毛を描き起こしています。茶色い模様も細い筆で羽を1枚1枚織り込むように描かれています。少し眠たげに見える表情も可愛らしいですね。
右のミミズクは背景を薄く塗り、主役との差をはっきりと付けていますね。後ろの木々も水墨画の薄墨で描かれたかのようで、ミミズクのいる風景の空気感が出ていますね。
ミミズクのゴワゴワとしたボリュームのある毛並みも、よく観察し描かれています。模様も細かく描写されており、体毛の色も美しいですね。何度も色を重ね、下の色を影響させる事により色に深みが出ているのでしょう。森の賢者とも言われる鳥の貫禄がしっかり出ていますね!フクロウとは対照的に、鋭い目線は何を捉えているのでしょう?

今回ご紹介した作品はほんの一部であり、作品の間には沢山の練習と制作がありました。教本を読んだり講座を見るのも良いですが、まずは兎に角手を動かす事が必要である事を、作者の制作姿勢からいつも感じております。これからも制作を楽しみながら続けていって頂けたらと思います。











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