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尾瀬を歩く

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平井 アクリル 大竹です。今回ご紹介させて頂くのは、平井さんのアクリル画です。木製パネルにアクリル絵の具で直接、尾瀬の風景を描いています。尾瀬の広大な山地湿原は、福島・群馬・新潟の3県にもまたがるそうで、日本百景にも選定されています。 秋の穏やかな日差しと、駆け抜ける涼しげな風が画面からも伝わってくるようですね。目に見えない日差しを表現する為には、光と陰が重要となってきます。平井さんの作品では、橋に落ちる光と影が見事に表現されています。眺めていると、心地よい日差しの中を歩いている時の温度や匂いが思い起こされるようです。 葉っぱの細かな点描は筆先を細かく先割れさせて塗り、地面の草木や橋の木目はドライブラシで表現しています。巧みな筆使いにより、それぞれの質感を描いています。周りの草木も黄色やオレンジ、青といった様々な色を取り入れ、色彩豊かに表現されています。普段なら特に気に留めないような草木でも、制作者を通じて描かれたものはとても魅力的に見えてきますね。 橋を歩く2人の白と赤の服も、画面の中で良いアクセントになっていますね。サラッと描かれている様に見えますが、人が歩いている自然なポーズも、実はかなり難易度が高いもの。人の仕草をよく観察し、描いているのでしょう。 穏やかな光景は作者の人柄が表れているかのよう。お散歩に出かけたくなるような1枚です。  

80年の蓄積

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長沼 油彩 大竹です。今回ご紹介させて頂くのは、長沼さんの油彩作品です。この不思議なトンネルの様な場所は、北海道稚内市の稚内港にある北防波堤ドームです。樺太航路を高波から守るために1931年から5年かけて建築されたそうで、設計者は当時26歳の若者だったとか。高さは役14メートル、長さは427メートルもあるそうです。70本にも及ぶ柱が並ぶ姿は圧巻です。 滑らかに削られた天井には、80年の月日の経過を感じさせる為に幾重にも絵の具を塗り重ねられています。床や柱も同じ様に、古きものの深みを出すために様々な色を作り、試行錯誤しながら絵の具を置かれていきました。岩や建物などのずっしりとした重みを出すには、やはり影をしっかりと濃く入れ、明暗差をつける事が重要となってきます。長沼さんの絵では、天井や柱の明暗が縞模様の様に続いており、模様的に観ても面白いですね! 奥の空はシンプルに青空にしたお陰で、北海道の広大な大地と空を感じさせてくれます。中で犬の散歩をさせているのは地元の人なのでしょう。涼しげな格好から、季節は夏であることも読み取れますね。人が居る事で、その建物の大きさもより実感を持って感じる事ができ、かつてはこの小さな人間が、この大きなドームを作ったのだと改めて感心させられますね。 この不思議な光景も、日本にあるのだと思うと感慨深いですね。GWが明けたばかりですが、北海道へ実物を行きたくなってしまいますね!