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6月, 2024の投稿を表示しています

湿度のある寂寥感

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  永瀬 油彩 大竹です。今回ご紹介させて頂くのは、永瀬さんの油彩作品です。幼い頃の自分をモデルに描いています。ちょっぴりムスっとした表情は、何か嫌なことでもあったのでしょうか? 下地を活かした色づくりによって、絹に書かれた日本画の様な質感にも見えてきますね。絵の具のかすれが美しく、素材そのものを楽しみながら描かれているのが分かります。洋服の肩辺りの下地の透け具合など特に味わい深く思います。黒を使った輪郭線の入れ方もお上手ですね。輪郭をぼかして曖昧にする部分と、輪郭を際立たせる部分のリズムが心地よく、シンプルな画面ながら退屈さを感じさせません。 後ろのタンポポの綿毛はシャープな線を出す為にクレパスで加筆されています。茎の部分は縦線が強調されない様、下の方はぼかしてあります。モチーフや色合い、タッチによって、湿度のある寂寥感を見た人に与えます。 綿毛は種子を運ぶ為に遠くへと飛んでいきます。作品に描かれるモチーフには全て意味が込められています。浮かない表情のこの子供は、これから遠い場所へ行く事を憂いているのでしょうか?別れの暗示にも思えますし、それとも、今は晴れない気持ちでも、いつか伸び伸びと綿毛の様に広い世界へ飛んでいけるというメッセージなのでしょうか?見る人は自分の幼少期と重ねたり、自分の子供と重ね合わせてこの絵の子どもの気持ちになっていくのだと思います。

小学生からの成長

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きぬこ 中1 デッサン 油彩  大竹です。今回ご紹介させて頂くのは、学生クラスのきぬこさんの作品です。小学生クラスの頃より通い、受験の為一度退会したのちに学生クラスへカムバックしてきました。 手のデッサンは初挑戦でしたが、見本を見てどの様に描けば良いか理解して描いていっていますね。中1の頃の私がこのデッサンを見たら悔しくて嫉妬していた事でしょう。勿論、まだ形に拙い部分はありますが、よく観察し妥協せず描かれています。かといって苦労を感じさせる様な泥臭さは感じさせず、スマートに仕上がっている様に思います。まだ色の幅(白〜グレー〜黒のグラデーション)が少ないので、鉛筆の濃さ全てを使い分けながら描いていきましょう。 油彩の方は自宅で描いていた物をアトリエで仕上げました。小学生の頃学んだテクニックを活かしつつ、中1のレベルアップした実力を発揮しています。瓶の輝き、少し乾燥した人参、ずっしり重みを感じさせるみかん、それぞれの質感をよく表現できています。背景のグレーも単調にならない様様々な色を少しずつ加え、フラットな画面ながら深みのある色合いとなっています。王道な油絵といった作品ですが、油絵の特徴と良さを活かした1枚ですね。是非今後も楽しみながら制作を続けていって欲しいと思います。