遊び心を添えて


長沼 油彩

大竹です。今回ご紹介させて頂くのは長沼さんの油彩作品です。時には2枚3枚を同時進行で描かれる事もあり、エネルギッシュに制作されています。

左側の作品は茨城県の笹間市にある石切山脈を描いています。山脈や岩肌といった、ゴツゴツしたものは油絵にぴったりの題材ですね。岩肌の不思議な縞模様は自然に出来たものだとは信じがたいデザイン。こうした風景に魅力を感じ、作品にしようとする感性も、長年磨かれたものなのでしょう。ペインティングナイフで絵の具を盛り付ける事で、削られた山肌を表現しています。水面は鏡のように風景を映しており、その表面は静かに揺らいでいます。荒々しい山肌との対比にもなっていますね。空もまた柔らかい色合いで薄い層を重ねる様に塗り重ねられており、平面の絵の中でも奥行きを感じることができます。特にこうした絵の具を厚く乗せた場合は、絵の具を薄くして視線を逃す先(抜け感)があるとバランスも良くなりますね。迫力がありながら、圧迫感や息苦しさはなく、そこにある雄大な自然の積み重ねを受け取ることができる1枚です。

右側はシロクマがいることから北極の地であることが伺えます。一番大きなシロクマは光を受けて金色に輝いており、極寒の寒さのなかでの生命がもつ暖かさが滲んでいるようです。奥には仲良く並ぶ2体のクマ達。毛で覆われふっくらとした愛らしい体と、それは過酷な地で生き抜くための構造である事の2面性、いわゆるギャップを鑑賞者に与える事でしょう。氷の冷たさも掠れた絵の具で表現し、我々人間が安易に踏み込めない厳しさをも感じさせます。しかし、そんな中で動物たちのなんともいえぬ朗らかな表情がまた魅力的ですね。よ〜く見てみると、シロクマ以外にももう1匹顔を出しています。作者の遊び心が伺えますね。
制作途中、つまらないからと原色に近い激しい色を思い切って入れ、それを下地として滲ませるように絵の具を重ねています。(熊の周辺の赤などがわかりやすいでしょうか)こうした急な舵取りもまた、油絵ならではですね。























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