小学生油彩2022!part3


 
大竹です。日が落ちるのが早くなってきましたね。いよいよ今年も終盤だと思うとなんだかもの寂しくなってきますね。
さて、今回は3年性の油彩作品をご紹介させて頂きます。

はるみ(左上・3年) 昨年の油彩は海へと続く小道の風景でしたが、その続きのような場面ですね(服装が同じだから本当に続きの場面かな?)。奥へと続く岩の道と、その上を歩くお父さんとはるみさんが描かれています。昨年と比べ、色使いが落ち着いたように思えます。ばちばちっとした明るい色から、少し鈍い色でまとまっているので大人っぽい色合いになりましたね。ああはるみさんも成長して大人になってしまうのか…とこっそり寂しく思っておりましたが、手前の砂浜の塗りは(途中で飽きてしまい)海と比べて適当になっているあたり、ああまだ3年生らしさが残っていた!と内心ホッとしたりしておりました。笑 その適当に選び、塗られた色合いもなんとも言えぬ魅力に満ちているのですから、大人からすると羨ましい限りです。
父親について行くはるみさんの背中からは海への高揚感、ウキウキしている様子が顔が見えなくとも伝わって来るようです。場所は存じませんが、私は見ているとなんだか江ノ島に行きたくなってきてしまいます。

あん(右上・3年) その特徴的な丸い屋根の骨組みから、広島の原爆ドームである事が直ぐに分かります。手前には鮮やかな花畑が広がっており、建物の人工物と花の自然物・広島を焦土にした戦争の傷跡と再生した自然、といった対比があり、本人が意図して選んだのかは分かりませんがメッセージ性の強い題材であるでしょう。
焼け焦げ、朽ちかけている建物の色づくりは大人顔負けですね。薄汚れたレンガや古びた石壁の質感がよく表現されています。油絵はこうした汚れを描くのに向いている画材でありますので、モチーフとしても相性が良かったですね。手間の花々も最初は単調な赤でしたが、途中から光が当たって明るい部分や影になっている部分の色を加えていっています。元の写真が花を細かく描くには難しい写りでしたが、細かく描かずに色の塊で描かれた事でメインとなる原爆ドームはより引き立つ様になっています。
本人はまだ3年生ながら、時折既に人生を1周した大人の様な落ち着きを見せる事があり、将来自身が描いたこの絵を見た時にどう思うのかとても気になります。高校生くらいになったら是非コメントが欲しいところです。

れいき(左下・3年) 普段はお喋り好きでふざけるのも大好きな彼女ですが、作品からはお嬢様らしい上品な佇まいを感じます。花の色合いは淡いパステルカラーでまとめられ、地面も濃い色を使わず鈍い色で塗られているので作品全体が軽やかに仕上がっています。しかし可憐な花々からは弱々しさなどは感じられず、「今日親に怒られてお昼ご飯抜かれたからめっちゃお腹空いてんだよねーっ!」とケロっと話していた作者の姿が思い浮かびます。花だけではなく葉っぱの方も1枚1枚違う色で描いたのかと思うほど、色彩豊かで非常に魅力的ですね。背景は青と黄、寒色と暖色の2色で分けられているのもまた面白いです。少しずつ色を変化させながら塗ることを指導しましたが、その言いつけをキチンと守って制作した成果が全体に現れていますね。どこを見ても魅力的な色と筆使いを感じる事が出来るでしょう。
昨年の油彩と比べると、その色づくりの技術の向上っぷりには眼を見張るものがありますね。来年はどのような進化を見せてくれるのか、楽しみにしております。

ちはや(右下・3年) 何よりもとにかく線が非常に魅力的です!猫のシマシマ模様や、足の輪郭など特に面白いですね。背景の空の色合いもパズルの様に入りくみ、まるでアゲートの様な美しさを感じられます。地面の草もただ緑や黄緑だけでなく、赤や茶色が入り混じっているのもまた良いですね〜!赤と緑は補色というお互いの色を引き立てあう関係にあるので(クリスマスカラーですね)、正にこの赤色が良い仕事をしています。猫の表情は可愛らしい、というよりもアメリカンショートヘアーが持つ知的な雰囲気で描かれているように思えます。ヒゲや細かい毛の模様はクレヨンで仕上げました。油彩とはまた違った、クレヨンの強い色と線もまたちはやさんの筆使いとマッチしていますね。
ピカソが目指した子どもらしい絵とはこういうものだったのうとしみじみ思います。おしゃれなカフェに飾ってもいいんじゃないかな?

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