三兄弟シリーズ、3作目です。

永瀬 油彩


大竹です。今回ご紹介させて頂くのは、永瀬さんの油彩作品です。永瀬さんの息子さん三兄弟と母のシリーズの3作目、ラストの三男君です。(長男さん次男さんの作品

永瀬さんの作風である、薄くガーゼを折り重ねたような質感が、柔らかい肌や布を表現しています。絵具の持つ深みをどこまでも掘り下げていく様な色作りがとても魅力的です。
背景は鈍い緑でまとめ、主役である親子の服装の色を引き立てています。この壁の色だけでも、眺めていると様々な色が見えてきそうです。どの作品も、数ヶ月かけて制作されていますが、その間に絵の雰囲気が二転三転する事は珍しくありません(むしろ、しない方が少ない?笑)塗り替える過程で、元の絵が下地の役割を成して絵により一層深みを与えているのでしょう。そう思うと、制作中の気変わりも必要な制作過程の一部なのかもしれませんね。

穏やかな親子の様子とは裏腹に、背景は決して明るく穏やかなものではなく、どこかほの暗く不穏な予感を感じさせます。1作目の作品について描かれていた「聖母子像というのはきっと母親になった女性には描けないと思います。神聖化して絵の題材にできるのは、客観的にしか子育てに関わらず毎日の慌ただしい現実を知らない男性が描くものではないでしょうか?」という言葉に、この母子像シリーズの意図が詰まっているのではないでしょうか。
私に自分の子供はいませんが、週に一日、80分だけの授業でも、子供たちのパワーには毎回圧倒されてしまいます。たった80分だけでヘトヘトなのですから、ご家庭で毎日一緒に過ごされるご両親を思うと尊敬の念が絶えません…。子供はただ可愛いだけの生き物ではありません。すでに2人のお子さんを育てられた経験から、この先に待ち受ける苦労を予測しているのでしょう。そう思うと、穏やかに赤ちゃんを見つめる母に対し、赤ちゃんの視線は別の方向を向いているのも、まさに親の思うままにはいかな子供の様ですね。
窓の外(外の世界)も室内と同じ様に、明るくない所がまた見る人の想像を掻き立てます。

制作準備にあたり、当時の三男さんのお写真や映像を探したそうなのですが、「資料となる写真を探したら、三男のものが全然ないんです。長男、次男で沢山撮ったので、もういいかなってなっちゃてたんですかね?親としては申し訳ないなぁと思っているのですが、本人は全然知ったこっちゃないでしょうけど!笑」とのことでした。



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