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9月, 2023の投稿を表示しています

自然物と人工物

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          こうたろう(高1 ミリペン)      まほ(専門2年 顔彩) 大竹です。夏休みも終わり、ようやく少し暑さが和らいできたように思います。今回も引き続き学生クラスの作品を紹介させて頂きます。 左の車はこうたろうさんの車シリーズ、今回はペン画に挑戦しました。下書きにも2ヶ月、ペン画入れも2ヶ月とかなり時間をかけて制作しました。油絵やアクリル、水彩に色鉛筆とあらゆる画材に取り組んできましたが、今回はミリペンに挑戦しました。練習として描き始めたので(ここまで時間がかかると思ってなく)あまり良い紙に描いてなかったのが惜しまれます。 ペンでボディの形を搔き出していきますが、線が揃っていなかったり、不均等に入れてしまうと汚く見えてしまいます。こうたろうさんは時間がかかる分、丁寧に作業をしていたのでペン画との相性も良かったのでしょう。光沢の部分は思い切って紙の白をそのまま生かして作っているのもメリハリが効いていて良いですね。シルクスクリーンなどでTシャツにプリントしてもカッコ良さそう? 右の野菜はまほさんの日本画です。和紙をパネルに水張りし、墨で骨描きをしてから着彩していきました。絵手紙にも使われる顔彩を使用して描いたので、夏らしい瑞々しさを感じますね。食べ物を美味しそうに描く上で重要なのは何よりもツヤ!ナスや玉ねぎなど、つるつるとした表皮のものは和紙の白を残しながらテリッテリに描かれています。このハイライトが野菜の瑞々しさ、身が詰まった重みを出してくれています。 顔彩の鮮やかな色合いと野菜の相性も良いですね。顔彩は初挑戦でしたが、画材にあったモチーフを選択していると思います。こうして見てみると野菜のもつ色の豊富さを改めて認識しますね。

制作の足跡

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黒瀬 水彩画(2月制作・4月制作) 大竹です。今回ご紹介させて頂くのは大人クラスの黒瀬さんの作品です。 とても勉強熱心で、水彩の風景画から始まり人物の練習(クロッキー)やクレヨン画まで様々な題材に取り組まれています。今回はその中からいくつかピックアップしてご紹介させていただきたいと思います。 まずは上画像左の作品。エストニアの町並みを水彩で描いています。少し古ぼけた石畳の道が奥へと続き、脇には柔らかな風合いの黄色い建物が並んでいます。そのさらに奥にはアレクサンドル・ネフスキー大聖堂が見えていますね。石畳やレンガの細かい描写から逃げずにしっかり描ききっており、密度の高い1枚となっています。水彩画は色を重ねすぎると濁ってしまいますが、それもなく透明水彩絵の具の美しい色合いが引き出されています。 大通りではなく、人通りの少ない路地裏っぽい場所のチョイスも良いですね! そして隣の風景画は、先ほどのエストニアの町並みから2ヶ月後の作品です。比べると、色に深みが増しているのが分かります。また、絵の具の濃淡で雲の立体感を表現したり、風景の奥行きも作られています。混色で作れる色幅も増えたのでしょう、あえて燻んだ色合いを入れる事で(奥の森の木々など)、空や手前の地面の鮮やかな色がより引き立っていますね。 雲は紙の白を残して描いた部分と、メラニンスポンジ(激落ちくん)で擦って作った部分が混在しています。雲が厚く膨らみのある部分と、薄く消え入りそうな部分を上手く描き分けられていますね!建物の陰影もよく捉えられており、明暗によるメリハリが生まれています。画材の扱いにも慣れてきているのが伝わりますね。  黒瀬 (クレヨン画 6月制作・水彩画 8月制作) 3枚目のレモンの作品は硬いボードにクレヨンで描かれています。水彩とはまた違った素材ですが、ボードにもともと色がありますのでクレヨンにも相性が良い支持体ですね。瑞々しいレモンに若い葉っぱ、それらを空の青色がまとめ上げています。シンプルな画面な分、色の混色やタッチに工夫が見受けられますね。背景の青は単調に塗るのではなく、筆跡の方向や色合いを変化させています。レモンは陰影を描写する程度に留めた分、葉は何色も色を重ね、葉脈まで細かく描写されています。全体的に粗密のバランスが上手く取られていますね。 周りはマスキングテープで保護していたので、ボードの色...

学生の油絵

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左から かんな/りんか/ことみ(全員中1) 大竹です。今回は学生クラスの作品をご紹介させて頂きます。 全員小学生クラスからの繰り上がりで友達同士なので、金曜クラスはいつも賑やかです(うるさ過ぎて叱られる事も多々あり)今回は全員油絵です。 かんな・・・3月の小学生クラスのカリキュラムが水彩での名画模写だったので、学生クラスに上がった後も油絵で新たに模写を始めました。偶にアトリエがある日だということを忘れてしまううっかりな部分もありますが、実はパステルでは小学生クラスからの最古参の1人です。油絵の扱いは慣れており、模写においても限られた絵の具セットの中でかなりの色のバリエーションを作ることが出来ています。船を1隻描き忘れてしまうウッカリもありましたが、彼女にとっても色づくりにおいて勉強になる1枚だったのではないでしょうか。次は大きな作品にも挑戦して貰いたいですね。 りんか・・・こちらも写真を元に油彩で制作しています。月や海のグラデーションが安っぽい色にならないよう、何度も色を重ねて深みを出していきました。陰の暗い部分も、濃い色を少しずつ重ねて作っています。油絵の具が得意とするグラデーションもうまく作りあげ、夕日と夜がせめぎ合う僅かな時間を表現しました。その境目に潜っていく鯨はどこへ向かっているのでしょうか。彼女の中で拘りややりたい事はしっかりしていますが、中々それを思い切り出すのは恥ずかしいのか自信がないのか、描くものをセーブしている印象があります。1枚1枚手を抜かず制作し、どんどん自信をつけていって欲しいと思います。 ことみ・・・元々小学生クラスに所属していましたが、一旦退会した後に再びカムバックしてきました。復帰後の最初の1枚です。自分のペットの犬をモデルに描いていきました。長毛の犬だったので、何度も色を塗り重ねてボリュームを出しています。全体が茶色系の色ばかりになりそうだったので、カーペットに差し色を入れて調整していきました。可愛らしい顔を表現する為、何度も表情を描き直しています。まだ若い子犬なのでしょう、あどけない表情を上手く描く事が出来ました。 「ここどう描けばいいの?」と聞いてくる割には、説明をした次の瞬間には聞いていないのか忘れっぽいのか、「で、どうすればいいんだっけ?」と聞いてくるのでその度に私の怒りを買い「同じ事2回も言わせるな!聞いてないならもう知ら...