投稿

5月, 2025の投稿を表示しています

遊び心を添えて

イメージ
長沼 油彩 大竹です。今回ご紹介させて頂くのは長沼さんの油彩作品です。時には2枚3枚を同時進行で描かれる事もあり、エネルギッシュに制作されています。 左側の作品は茨城県の笹間市にある石切山脈を描いています。山脈や岩肌といった、ゴツゴツしたものは油絵にぴったりの題材ですね。岩肌の不思議な縞模様は自然に出来たものだとは信じがたいデザイン。こうした風景に魅力を感じ、作品にしようとする感性も、長年磨かれたものなのでしょう。ペインティングナイフで絵の具を盛り付ける事で、削られた山肌を表現しています。水面は鏡のように風景を映しており、その表面は静かに揺らいでいます。荒々しい山肌との対比にもなっていますね。空もまた柔らかい色合いで薄い層を重ねる様に塗り重ねられており、平面の絵の中でも奥行きを感じることができます。特にこうした絵の具を厚く乗せた場合は、絵の具を薄くして視線を逃す先(抜け感)があるとバランスも良くなりますね。迫力がありながら、圧迫感や息苦しさはなく、そこにある雄大な自然の積み重ねを受け取ることができる1枚です。 右側はシロクマがいることから北極の地であることが伺えます。一番大きなシロクマは光を受けて金色に輝いており、極寒の寒さのなかでの生命がもつ暖かさが滲んでいるようです。奥には仲良く並ぶ2体のクマ達。毛で覆われふっくらとした愛らしい体と、それは過酷な地で生き抜くための構造である事の2面性、いわゆるギャップを鑑賞者に与える事でしょう。氷の冷たさも掠れた絵の具で表現し、我々人間が安易に踏み込めない厳しさをも感じさせます。しかし、そんな中で動物たちのなんともいえぬ朗らかな表情がまた魅力的ですね。よ〜く見てみると、シロクマ以外にももう1匹顔を出しています。作者の遊び心が伺えますね。 制作途中、つまらないからと原色に近い激しい色を思い切って入れ、それを下地として滲ませるように絵の具を重ねています。(熊の周辺の赤などがわかりやすいでしょうか)こうした急な舵取りもまた、油絵ならではですね。

3色だけで描いてみよう!〜幼児クラス編〜

イメージ
大竹です。幼児クラスでは、赤・青・黄の三原色だけを使って描くカリキュラムを行いました! まずはカラーサークル作り。7つの丸の上、左下、右下、にそれぞれ赤、青、黄の絵の具をはみ出さないよう慎重に塗っていきます。この時、筆の持ち方や水の量、パレットの使い方なども指導しています。三原色の間の丸はそれぞれ隣り合った色を混ぜて作ります。真ん中は3色混ぜた色になります。混色を学んだら作品制作で実践!りんごとぶどう、ストローと水入りのコップを描きました。全て赤・青・黄の絵の具だけて塗られています!(仕上げのハイライトには白い絵の具をしようしています)どうでしょう?コップの透明感までバッチリ描けています! 絵の具やパレットの効率の良い使い方や筆の持ち方、水加減などは繰り返し取り組む事で感覚を覚えていける様、幼児クラスでも何度か使用します。今月の小学生クラスはこれの更に難しい課題に取り組みますので、幼児クラスに負けていられませんね!  

アクリルで描き出される自然

イメージ
大竹です。今回ご紹介させて頂くのは平井さんのアクリル作品です。チケット制で月に1回、月末に制作されていますがアクリル絵の具の速乾性も相まってかなりのスピードで作品を仕上げられています。 左の作品は白と朱色のポピーを描いています。鮮やかな朱色と柔らかな白の花々が、キャンバスの上でまるで命を宿したかのように咲き誇っています。近くで見ると大胆なたっちで描かれており、離れて鑑賞する事でそれらがまとまり観る者の心を2度掴む事でしょう。ポピーの葉や茎には白が混ぜられた色が使われていますが、これによりうぶ毛のような細かい棘を表現しています。流石の描写力ですね。鮮やかな花々を支えるように葉も様々な緑で描かれており、その色彩の豊かさに作者の技術が光ります。 右の作品。広がる空と流れる川、その奥に佇む山々まで、すべてがのびやかな筆使いで描かれており、まるで風が吹き抜けていくような爽やかさを感じさせます。長時間露光して撮られたかのような軌道を描く空は、元あった空を「なんだかつまらないから!」と大胆に塗りつぶし、描き直したもの。それによってまるで空(さらに向こうの宇宙まで)と大地の時の流れの差異のようなものまで感じさせるようです。 遠くに見える赤い橋がアクセントとして画面を引き締めるとともに、手前から奥へと向かう視線誘導の手助けもしています。描かれたもの全てが無駄のない1枚となっていますね。 ちなみに右の風景がは木製パネルに直接描かれています。アクリルならではの使い方ですね!アクリルを使われる方は一度パネル描きも試してみては如何でしょう。紙とはまた違った感触で面白いですよ!