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3月, 2024の投稿を表示しています

お魚が1匹、2匹、3匹…

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大竹です。幼児クラスでは、切り込みを入れた工作をテーマにうねうね泳ぐお魚を制作しました。まず長方形の画用紙から正方形(折り紙のかたち)を取る方法を学び、実践。「大きいおりがみができた!あまった紙でもっと作ってもいい?」と切れ端からもどんどん作っていきました。一番大きい紙から魚を作り、背中から尾に向けて細かく切れ込みを入れる事で上下にうねるようになります。当初は1匹のみの制作予定でしたが、「せっかく小さい折り紙も作ったから、小さいお魚も作りたい!」と、急遽小さく切った紙でも小魚を作り、お魚の親子が出来上がりました♪   また、それと並行して幼児クラスでも木版リトグラフの制作を進めていきました。幼児クラスは「見たこともないふしぎな生き物」をテーマに、オリジナルの生き物を描いていっています。刷りあがるのをお楽しみに!

イグアナとモリス

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柳谷さん アクリル・ミリペン・水性ペン等 大竹です。今回ご紹介させて頂くのは、大人クラスの柳谷さんの作品です。こちらは白のアクリルを下地に、ミリペンでイグアナを描き、水性のペンで着彩されています。上下の飾り枠の花はウィリアム・モリスの花柄や、アール・ヌーヴォーの自然をモチーフとした曲線を思わせます。 イグアナの細かい鱗のような模様を、1つ1つミリペンで描いています。気の遠くなる様な作業でしたが、ご自宅にも持ち帰って制作されていました。柳谷さんはどの制作も楽しんで取り組まれていますので、きっと苦行に感じないのでしょう(多分…)。点描の密度を変えて立体感を出し、更に上から水性ペンで陰影を加えて(水性のアクリルが地になっているので、布キャンバスにも水性ペンが乗るようになります)イグアナの皮膚の厚さや重さを表現しています。少し眠たげにも見える表情が愛らしく、普段あまり目にすることのないイグアナの魅力を伝えてくれる1枚です。 日々色々な画材を購入されては実験し、様々な表現を探求されているその姿勢は、美術系の人間全員が学ぶべきものですね。私にも爪の垢を分けて貰いたく思います。 イグアナという渋いチョイスと、モリス的な装飾で上下に枠を作るアイデアが面白いですね!今回は四角いキャンバスで制作されていましたが、丸いキャンバスで制作するのも合いそうです。

積み重ねの岩壁

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  長沼 油彩 大竹です。今回ご紹介させて頂くのは長沼さんの油彩作品です。この天にも昇る岩壁の圧巻の光景は、山形県の瓜割石庭公園です。30mの岩壁に囲まれた場所は、音の反響の良さからなんとライブ会場にされる事もあるそうです。そう思うと、岩肌達の表情も活気に満ちている様にも見えてきますね。 左上の手前に見切れている崖はパレットナイフでたっぷりと絵の具を乗せてマチエールを効かせ、ヤスリのようにざらざらとしています。この部分がほぼ目の前にあるかのように感じられるので、より奥に聳え立つ岩壁が大きく、迫力あるものに見える構図となっています。真ん中に立つ観光客と比較すると、よりその大きさが実感できるでしょう。 何百、何千、ひょっとしたら何万年の積み重ねからできた地層の色合いを、油彩の奥行きある風合いで表現しています。何層も色を重ね、深みと重みを出す事ができる油絵ならではの色合いですね。崖の上から染み出した様に縦模様に色が変化しており、そこに走る横線は恐らく人の手によって石が切り出された跡なのでしょう。赤〜黄色の強く鮮やかな色合いは蓄積されたエネルギーを内包しているかのようです。この岩壁の存在感をより重く印象付けるために、ハッキリとした色を使っているのでしょう。しかし、力が強すぎると圧迫感を与えてしまう場合もあります。それを和らげるため、空は絵の具を乗せすぎないようフラットに仕上げられています。青空も切り取られたパズルのピースの様にも見えてきますね。空さえ小さな破片に見える光景が面白いです。 また細かい部分ですが、周りに生い茂る草木の種類もしっかりと観察し、描かれています。隅々まで手を抜かず制作されていますね。手前〜中間は明るく、奥は暗く作ることで、広い画面にもメリハリを与えてくれています。 ちなみに、この石切場から切り出された石材で作られたのが旧高畠鉄道高畠駅舎だそうです。壁の色が石切場と一緒ですね!何万年もの積み重ねで作られたこの岩を、人はツルハシで切り崩していったのですから、両者とも凄まじいパワーです。遠い地球の月日と、人類の発展に思いを馳せてしまう1枚ですね。

宇宙でポーズをキメよう!

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大竹です。幼児クラスでは、宇宙をテーマに絵画&工作を行いました。宇宙にある太陽や地球、土星や彗星、果ての星といった様々なものを黒い画用紙いっぱいに描いていきます。太陽は特に大きいので、端っこで見切れさせてその大きさを表現しています。大きい紙でしたので塗りつぶすのも一苦労ですした。中には隕石も見受けられ、非常に賑やかな宇宙となりました。 宇宙が出来上がったら、宇宙飛行士になった自分を作っていきます。ヘルメットの中に顔を描き、体をパーツごとに切っていきます。ハサミの使い方もみんなバッチリ!体と手足のパーツが出来たら、画用紙の上に乗せどんなポーズにするか考えます。ジャンプ?寝てる?バンザイ?ポーズが決まったらノリで貼って完成です☆ みんなが大人になる頃には、軌道エレベーターで気軽に宇宙に行けるようになっているのかな?未来が楽しみですね。

森は何を表している?

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  大竹です。今回ご紹介させていただくのは、長沼さんの油彩作品です。 新聞に掲載されていた群馬の谷川岳の写真を参考に描いています。(最近は新聞掲載写真を描くのがブームだそう)油絵らしく絵の具をたっぷりと使用された岩肌や森の質感は迫力満点。濃いめの緑に引き立てられた、鮮やかな緋色や黄色が見る人に強いインパクトを与える事でしょう。雲と青空が模様的に捉えられているのも面白いですね。空は斜め、山は縦、森は横方向へのタッチが組み合わされており、筆運びの変化も楽しめるでしょう。また、太陽そのものが描かれていなくとも、存在を感じさせるだけの光が描かれています。作品をグレースケールに加工させて頂きましたが、白黒で見ても山肌の光がよく感じられるかと思います。絵を描く際、色合いだけではなく、色の明るさも意識して描かれていくと、メリハリのある画面を作る事が出来るでしょう。こうして見ると、上面の空は明るく、下面の森は暗めに作られており、その明暗差でも画面が引き締まっているように見えます。 そしてこちらの作品は屋久杉の森と鹿を描かれています。(大きいキャンバスでしたので、写真も大きめに掲載させて頂きました。)迷路にも見えそうなほどうねり、入り組む木々は光を遮り、昼間なのに薄暗い光景は人々に畏怖の念を与えます。人の手が入らず、自然にこの形を作る植物のなんと面白い事でしょうか。ところどころに入る赤色は緑の補色の役割を果たしつつ、なんだか木々たちに流れる血流、命の源にも思えてきます。奥から流れる川の勢いと、じっとこちらを見つめる鹿達との動と静の対比も画面に不思議な雰囲気をもたらしています。苔に覆われた岩の緑の豊富な色数も見事ですね。湿り気を帯びた様子がよく伝わってきます。苔が長い時間をかけて岩を覆うように、時間をかけて絵の具を塗り重ねていったのでしょう。 3頭の鹿は三角の構図になる様配置され、画面を引き締める役割を持っています。その視線は全て画面側(こちら側)に向けられています。本来ならば外敵でもいない限り、自然のうちに3頭が同じ方を向くということはないでしょう。あえてこちらに視線を向けている、鑑賞者が逆に作品の中から見られているのです。まるで人を森の奥へと導いているかのよう。 一見、入り組んで先の見えない道に見えても、どこかに先駆者はいるものです。それが森の様に何十年何百年と続いているも...