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4月, 2021の投稿を表示しています

絵のない絵本 ラスト

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先月のカリキュラム、アンデルセンの絵のない絵本の絵がようやく全員分揃いました。同じ物語の絵であっても、服装や構図の違いによってそれぞれ見え方が違っていて面白いですね。大きい紙での制作で大変だったと思いますが、それだけ完成した時の迫力も違いますね! また、色選びで悩んでいた子が、以前授業でやった色相環のことを思い出し、カラーサークルをチェックしながら色を選択している姿も見受けられ、しっかり身につけているんだなぁ…とジーンとしてしまいました。生徒全員に伝えた事を全て覚えてもらう、と言うのは本当に難しい事だと思います。 得意じゃないカリキュラムだったり、まだ理解するのが難しい年齢だったり、たまたまよそ見をしていて大事な部分を聞き逃していたり(大事な部分を3回繰り返し言っても、聞き逃してしまう事がそこそこあるのです!)。学校の先生は一度に30人近くの生徒を相手にするのですから、本当にめちゃくちゃ大変だろうなぁ…と考えてしまいます…。

お店やさんごっこ

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大竹です。こちらは以前幼児クラスで取り組んだお店やさん作りの風景です。八百屋さんや花屋さん、ケーキ屋さんといった売るものがあるお店の店主になった自分を描き、品物を作っていきます。それぞれのお店の人はどんな格好をしているか考えながら描いた後、ハサミで切り抜き裏に棒を取り付け持ち手にしたら完成です。品物も沢山用意して並べていきます。時間に余裕のある子は本物のお金を見ながら自分のお店の紙幣や貨幣を作りました。店員、品物、お金が用意できたらいよいよオープンです。「いらっしゃいませ、こんにちは」「今日のおすすめは、りんごです」「ありがとうございました」といったやり取りの練習をして、迎えにいらした保護者の方をお客さんにお店やさんごっこをしました。様々なお店が並ぶ、賑やかなパステル商店街でした!  

絵のない絵本2

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大竹です。前回に引き続き、先月の小学生クラスの作品の続きです。アンデルセンの絵のない絵本の絵を描いていました。今回は水彩絵の具で着彩後、塗り残しや塗りつぶしてしまった輪郭線などをクレヨンで整えています。特に小学生の水彩は絵の具のチューブから出したそのままの色を使用する事が多く、原色の力強い印象になりますので、隠蔽力のあるクレヨンと相性が良く思います。逆に、透明水彩のような淡く発色が綺麗で繊細な物は色鉛筆の方が合います。 完成した作品はブックカバーにして印刷し、原作の小説をカバーしてお渡ししています。表紙絵になった自分の作品を見て「ここはもっと丁寧に描けばよかった…」と呟く子も…笑 表紙の絵の話のページに付箋紙を付けてありますので、是非どんなお話か読んでみて下さいね。  

吹き流しの桜の木

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  毎年桜の散る早さに置いていかれそうになりますね。皆様は桜を楽しめましたか? 幼児クラスでは墨汁とストローと使って桜の木を描きました。画用紙に墨汁を垂らし、上から強くストローで息を吹きかければ、誰でも筆を一切使わずに味のある桜の木を描くことが出来ます。(吹き流しという手法です)年少さんは最初ストローを拭いても口の隙間から全部息が漏れてしまっていたのですが、口をムッとしたまま強く拭いて!というとうまく吹けるようになっていました。強く吹きすぎでまるで全力疾走した後かのようになっている子も…笑 墨汁が乾いたらピンクや緑の紙を小さくちぎって丸めてくっつければ可愛らしい桜の完成です。お家でも簡単に出来ますので、ぜひやってみてください♪

川崎総合科学デザイン科合格

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  カリン 鉛筆デッサン 中2〜中3 大竹です。こちらのデッサンは、今年度川崎総合科学デザイン科に合格した生徒のデッサンです。2年生から始め、毎週デッサンに取り組み続けていました。受験が近づくにつれ、宿題を出し家でもデッサンをやっておりました。休日も塾で夜遅くまで勉強し、ハードな毎日だったかと思います。試験内容もこれまた忙しく、90分で当日渡される2〜3個のモチーフの構図を決め、描き切らなくてはなりません。もちろんテストや面接もあるので、受験生暇なしです。 川総教室最後の日には、今まで描いたデッサンの一部を持ってきてもらい撮影しました。アトリエの床に並べきれないほどの量のデッサンは、これからの彼女の自信の基盤となってくれるでしょう。私も自分の母校の後輩が出来うれしいです。 下の写真は、一番最初に描いたリンゴのデッサンと、受験間際に描いた静物デッサンです。こうして比べると成長が一目瞭然ですね。 受験後は自分が描きたいものを自由にかいていました。これからはもっと楽しい学校生活が待っている事でしょう。私も入学当初の記憶が蘇り、懐かしさとワクワクで胸いっぱいになっております。新しい場所でも頑張ってね!

小学生 絵のない絵本

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    大竹です。小学生クラスで取り組んでいる、アンデルセンの『絵のない絵本』の絵が完成してきました。アンデルセンとはデンマークの童話作家です。人魚姫やマッチ売りの少女など、皆さん一度は読んだことがあるかと思います。絵のない絵本は、童話の短編集のようになっており、貧しい若者の元へ毎晩月が現れて、各地で見聞きした出来事を語ってくれる、というお話になっています。一番人気は二十八夜の白鳥の話でした。 第二十八夜 「海は 凪 な いでいました」と、月が言いました。「水は、わたしが 帆走 ほばし っていた 澄 す みきった空気のように、 透 す きとおっていました。わたしは海面よりもずっと下に生えている 珍 めずら しい植物を見ることができました。それらは森の中の 巨木 きょぼく のように、 幾尋 いくひろ もある 茎 くき をわたしのほうへさし上げていました。魚がその頂の上を泳いで行きました。空高く野の白鳥の群れが飛んでいました。その中の 一羽 いちわ は 翼 つばさ の力がおとろえて、だんだん下へ 沈 しず んで行きました。その 眼 め はしだいに遠ざかって行く空の 旅行隊 キャラバン の後を追っていましたが、翼をひろくひろげて、ちょうどしゃぼん玉が静かな空気の中を沈んで行くように、沈んで行きました。やがて水面に 触 ふ れました。頭をそらして翼のあいだにつっこむと、おだやかな湖に 浮 うか ぶ白い 蓮 はす の花のように、静かに横たわっていました。やがて風が 吹 ふ いてきて、きらきら 輝 かがや く水のおもてに波をたたせました。すると、水のおもては、まるでエーテルのようにきらめいて、大きな広い波となってうねりました。そのとき、白鳥が頭を上げました。きらきら光る水が、青い火のように白鳥の胸や背を洗って飛び散りました。 暁 あかつき の光が赤い雲を照らしました。白鳥は元気を取り 戻 もど して立ち上がると、のぼりくる太陽のほうへ、空の旅行隊の飛び去った青みがかった 岸辺 きしべ をめざして飛んで行きました。ただひとり胸に 憧 あこが れをいだいて飛んで行きました。青い、ふくれあがる波をこえて、ひとりさびしく飛んで行きました」――

絵の具そのものを楽しむ

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永瀬 油彩  大竹です。今回ご紹介させて頂くのは、永瀬さんの油彩の作品です。 左の作品は廃墟の写真を参考にしながら制作されています。マチエール材という、細かい砂利の様なものを絵の具に混ぜザラザラとした質感を出しています。この素材が永瀬さんの作風にとてもマッチしており、廃墟の持つ退廃感や寂寥感、終わりを意識させる様な雰囲気を見事に表現されていますね。絵の具そのものを楽しんで使われているのが描かれたものから伝わってきます。壁の色味に注目してみると、ただ灰色を塗り重ねるのではなく、所々でピンクや青色、黄色といった有彩色も取り入れられています。それらの色はかつては生きていた建物の姿を見る人に思い起こさせます。死とは終わりではなく、そこから生前の姿を思い起こさせたりしてくれる想像の入り口にもなっているのだと、こちらの作品を拝見していると思います。 実は絵の具だけはなく、クレヨンも随所に使用されています。元々、油性のクレヨンと油絵の具は相性が良く、小学生クラスでも仕上げにクレヨンを使ったりします。今回はマチエール材で絵の具自体がザラザラしているので、クレヨンのざらっとした書き味とも上手く馴染んでいますね! 右の作品は永瀬さんのご友人が描かれています。中心の方の退院時の写真を参考に、お祝いの気持ちを込めて描かれていました。こちらもマチエール材を練り込み、デコボコした質感を加えています。それにより、絵の具を重ねていくと少し掠れたような筆跡になっていき、全体的に柔らかい印象になっています。 以前の作品もそうでしたが、永瀬さんは作品の雰囲気に合った肌の色を作るのがいつもお上手ですね。同じ顔の中でも、赤みや黄みを使い変化を作り、首のあたりは影になる為少し青を混ぜた色で描かれています。服の色もよく見てみると下地の色が透けていたり、絵の具の厚みも変化があったりとこちらも絵の具の質感そのものが見て楽しめます。 背景には海が広がり、柔らかな黄いの空の中にはポツンと島の影が見えています。これは友達との思い出の風景だそうで、見ればすぐにあの場所だ!と分かるそうです。自分の中の思い出をモチーフに取り入れる事で、より一層作品に愛情を持って取り組めますね。