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湿度のある寂寥感

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  永瀬 油彩 大竹です。今回ご紹介させて頂くのは、永瀬さんの油彩作品です。幼い頃の自分をモデルに描いています。ちょっぴりムスっとした表情は、何か嫌なことでもあったのでしょうか? 下地を活かした色づくりによって、絹に書かれた日本画の様な質感にも見えてきますね。絵の具のかすれが美しく、素材そのものを楽しみながら描かれているのが分かります。洋服の肩辺りの下地の透け具合など特に味わい深く思います。黒を使った輪郭線の入れ方もお上手ですね。輪郭をぼかして曖昧にする部分と、輪郭を際立たせる部分のリズムが心地よく、シンプルな画面ながら退屈さを感じさせません。 後ろのタンポポの綿毛はシャープな線を出す為にクレパスで加筆されています。茎の部分は縦線が強調されない様、下の方はぼかしてあります。モチーフや色合い、タッチによって、湿度のある寂寥感を見た人に与えます。 綿毛は種子を運ぶ為に遠くへと飛んでいきます。作品に描かれるモチーフには全て意味が込められています。浮かない表情のこの子供は、これから遠い場所へ行く事を憂いているのでしょうか?別れの暗示にも思えますし、それとも、今は晴れない気持ちでも、いつか伸び伸びと綿毛の様に広い世界へ飛んでいけるというメッセージなのでしょうか?見る人は自分の幼少期と重ねたり、自分の子供と重ね合わせてこの絵の子どもの気持ちになっていくのだと思います。

小学生からの成長

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きぬこ 中1 デッサン 油彩  大竹です。今回ご紹介させて頂くのは、学生クラスのきぬこさんの作品です。小学生クラスの頃より通い、受験の為一度退会したのちに学生クラスへカムバックしてきました。 手のデッサンは初挑戦でしたが、見本を見てどの様に描けば良いか理解して描いていっていますね。中1の頃の私がこのデッサンを見たら悔しくて嫉妬していた事でしょう。勿論、まだ形に拙い部分はありますが、よく観察し妥協せず描かれています。かといって苦労を感じさせる様な泥臭さは感じさせず、スマートに仕上がっている様に思います。まだ色の幅(白〜グレー〜黒のグラデーション)が少ないので、鉛筆の濃さ全てを使い分けながら描いていきましょう。 油彩の方は自宅で描いていた物をアトリエで仕上げました。小学生の頃学んだテクニックを活かしつつ、中1のレベルアップした実力を発揮しています。瓶の輝き、少し乾燥した人参、ずっしり重みを感じさせるみかん、それぞれの質感をよく表現できています。背景のグレーも単調にならない様様々な色を少しずつ加え、フラットな画面ながら深みのある色合いとなっています。王道な油絵といった作品ですが、油絵の特徴と良さを活かした1枚ですね。是非今後も楽しみながら制作を続けていって欲しいと思います。

尾瀬を歩く

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平井 アクリル 大竹です。今回ご紹介させて頂くのは、平井さんのアクリル画です。木製パネルにアクリル絵の具で直接、尾瀬の風景を描いています。尾瀬の広大な山地湿原は、福島・群馬・新潟の3県にもまたがるそうで、日本百景にも選定されています。 秋の穏やかな日差しと、駆け抜ける涼しげな風が画面からも伝わってくるようですね。目に見えない日差しを表現する為には、光と陰が重要となってきます。平井さんの作品では、橋に落ちる光と影が見事に表現されています。眺めていると、心地よい日差しの中を歩いている時の温度や匂いが思い起こされるようです。 葉っぱの細かな点描は筆先を細かく先割れさせて塗り、地面の草木や橋の木目はドライブラシで表現しています。巧みな筆使いにより、それぞれの質感を描いています。周りの草木も黄色やオレンジ、青といった様々な色を取り入れ、色彩豊かに表現されています。普段なら特に気に留めないような草木でも、制作者を通じて描かれたものはとても魅力的に見えてきますね。 橋を歩く2人の白と赤の服も、画面の中で良いアクセントになっていますね。サラッと描かれている様に見えますが、人が歩いている自然なポーズも、実はかなり難易度が高いもの。人の仕草をよく観察し、描いているのでしょう。 穏やかな光景は作者の人柄が表れているかのよう。お散歩に出かけたくなるような1枚です。  

80年の蓄積

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長沼 油彩 大竹です。今回ご紹介させて頂くのは、長沼さんの油彩作品です。この不思議なトンネルの様な場所は、北海道稚内市の稚内港にある北防波堤ドームです。樺太航路を高波から守るために1931年から5年かけて建築されたそうで、設計者は当時26歳の若者だったとか。高さは役14メートル、長さは427メートルもあるそうです。70本にも及ぶ柱が並ぶ姿は圧巻です。 滑らかに削られた天井には、80年の月日の経過を感じさせる為に幾重にも絵の具を塗り重ねられています。床や柱も同じ様に、古きものの深みを出すために様々な色を作り、試行錯誤しながら絵の具を置かれていきました。岩や建物などのずっしりとした重みを出すには、やはり影をしっかりと濃く入れ、明暗差をつける事が重要となってきます。長沼さんの絵では、天井や柱の明暗が縞模様の様に続いており、模様的に観ても面白いですね! 奥の空はシンプルに青空にしたお陰で、北海道の広大な大地と空を感じさせてくれます。中で犬の散歩をさせているのは地元の人なのでしょう。涼しげな格好から、季節は夏であることも読み取れますね。人が居る事で、その建物の大きさもより実感を持って感じる事ができ、かつてはこの小さな人間が、この大きなドームを作ったのだと改めて感心させられますね。 この不思議な光景も、日本にあるのだと思うと感慨深いですね。GWが明けたばかりですが、北海道へ実物を行きたくなってしまいますね!

ポチャンと落ちる

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  学生クラス 中1〜2 大竹です。学生クラスには4月から新中1が加わり、以前よりも賑やかになっております。最初の授業では、慣れるのも兼ねて小学生クラスの内容を先取りしました。無色透明な水を水彩絵の具を使って表現する描き方を学びました。上からポチャンと落ちてきた雫が水面に波紋を作っています。透明感を出すには、ベースに薄い色を入れ、形の際に濃い色をピリッと入れるのがコツ。青色だけでなく、暖色系の色も差し入れて豊かな画面にしています。この中に1枚講師の見本が混ざっていますが、パッと見どれなのかわからないほどよく描けていますね。 次回はこれをさらに応用し、動きのある水をテーマにした水彩がも制作していきます。1人1人違った仕上がりになるかと思いますので、お楽しみに!

幼児クラスの木版リトグラフ

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大竹です。幼児クラスの木版リトグラフ制作が終わりましたので、印刷の様子をご紹介させて頂きます。 印刷前にもう一度線を油性のマーカーでなぞり、濡らした付近で余分なアラビアゴムを拭き取ります。かなりゴシゴシ擦らないといけないので、子供達には力を振り絞って貰いました。 板にたっぷり水を塗り、いよいよローラーでインクを着けていきます。こちらもローラーを押し込む様に力を込めなければいけないので、二人羽織でインクを塗りつけていきました。版画初体験の子も多く、ここからどうなくかワクワクドキドキです。 紙に版を置いたら、これまた力一杯バレンでこすります。力を込めすぎで、いくつかのバレンが破壊されてしまうほど。子供達の秘めたるパワーにはいつも驚かされますが、バレンがないので足踏みに変更。バレンがわりに足で板をこすり印刷していく姿はまるでダンスしているかのよう…。 そしてゆーっくり紙から版を剥がせば…バッチリ印刷されています!プレス機が無くともこの印刷力!3週間に渡る大制作でした。ちなみに今回の絵のテーマは「オリジナルの生き物」色々な要素を組み合わせたキメラのような生き物たちが勢ぞろいしました。意外と力作業の連続で子供も講師もヘトヘトでしたが、また来年も挑戦したいですね!  

暗い空に浮かぶシルエット

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永瀬 油彩 大竹です。本日ご紹介させて頂くのは、永瀬さんの油彩作品です。佐賀県にある唐津湾のブルーアワーを描かれています。この画面の左側には唐津城が建っているそうで、お城ではなくあえて無人島(左側が鳥島・右側が高島・真ん中奥にうっすら見える平たい島が神集島というそうです)の方へ目を向けているところが永瀬さんらしいチョイスですね。無人島と左の灯りが点いている有人の家屋も対比されているのでしょうか。 暗い空の奥はぼんやりと明るく、無人島のシルエットを浮かび上がらせています。暗い空は幾重にも色を重ねて濃さを出しているので、黒に近い色ながら青や緑といった色彩を感じさせます。海の方にはうっすら紫を入れたことで、空とはまた違った色の魅力がありますね。暗い風景は、いかに暗い部分に魅力を作れるかがポイントとなっていきます。下地作りから色作りを楽しんで作られている永瀬さんの、偶然と計画性が絶妙なバランスで作品を彩っているようです。 ご自身の印象に残った光景を出力して描かれているので、作者が見て感じた風景を、作品を通じてそのまま感じ取ることができます。下地に砂のマチエール材を混ぜ込んであるので、それらがノイズの粒子の様にも見えてきますね。昔の写真の様にも思えるのは、このマチエールの効果なのでしょう。永瀬さんの画題とも相性の良い材料ですね。 次の作品ではどんな風景を見せてくれるのでしょうか。楽しみにしております。