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12月, 2023の投稿を表示しています

小学生油絵2023~5・6年生編〜

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  左上から のぞみ5年 たいち6年 左下から ことね6年 かえで6年 小学生の油絵報告ラストです! のぞみ・・・温かな木漏れ日が落ちる道を描いた一枚。ツンツンしている様に見えて、実は年下の子への面倒見の良い作者の内面が現れているかのようです。8月以降もじっくりと制作を続け、一番最後に完成しました。光の当たる場所によって緑の色合いを変えており、それにより本来目に見えない陽光を感じさせてくれます。反面、赤茶色の土や奥の建物はシンプルに作られており、そのギャップもまた面白いですね。絵本の中の寓話と現実世界の境界のようなものを感じます。よく見ると道路も様々な色で作られており、観るたびに新たな発見がありそう。なんだかワクワクしてきますね! たいち・・・ Boys be ambitious(少年よ大志を抱け) と、思わず頭に浮かんでくるような1枚。画面奥の大きな山を、作者が見つめる後ろ姿を描いています。青や緑の自然の色と、洋服の活発なオレンジの対比も良いですね。 油絵には初挑戦でしたが、画面から 生きる力が静かに満ちている様です。シンプルながらも個々の色合いや描写が味わい深い1枚ですね。上手く描こうという意識よりも、純粋に見えたものを描こうとしている様に見受けられます。普段はこんなの簡単でしょ?つまんないんだけど?というスカした態度で制作していますが、実は 結構素直なヤツなんだろうなと思えてくるのでした。 ことね・・・こだわりが強く、手を入れられる事を物凄く嫌がる(けど、何も言われないとそれはそれで不安になる…)ので、指導というよりは説得に近い形でいつもアドバイスをしております。また、一人でこれだけ描けるのですから、突っぱねられてもいいか!笑。作者のこだわりであろう青い空と海のきらめき、そして雲の質量感は見事。少し掠れた横断歩道のライン、薄汚れたアスファルトも油絵の特性を生かして綿密に描いています。電柱が手前から奥の階段、そして海へと視線を誘導してくれる構図も良いですね。是非中学生になったら好きなだけ時間をかけて好きなものを描いて下さい。 かえで・・・穏やかで既に中学生よりも大人びている(多分高校生とも対等に話せるんじゃないかな?)作者、作品にもその知性が現れていますね。空が真っ青でなく、淀んだ曇り空なところもまた大人びている。空が無彩色な分、平等院の赤や周囲の緑がよ...

小学生油絵2023〜4・5年生その2〜

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なつき4年 はるか4年 あやね5年 あん4年 しおん4年 はるみ4年 油絵紹介、4・5年生編part2となります。小学生の作品はどれも明るくポジティヴな気持ちにさせてくれる絵ですね。(これが中高生になってくると一転、暗黒面を見せてくれる子も) なつき・・・初挑戦の油彩、絵の具の特性に苦戦し悩まされましたが、無事最後まで描ききることができました。右側は鮮やかな緑の自然、左は建造物に石壁と人工物の対比が面白い画面です。左右に石垣と草垣が奥へと歓迎するかの様に配置され、観光客の様な人達も見受けられます。普段から性別や学年関係なく周りの子と話しているムードメーカーな作者の(たまにうるさ過ぎて私に放置されている)、誰でもウェルカムな心の姿勢が絵にそのまま表れている様にも思えますね。 はるか・・・モザイクタイルの様な色使いが魅力的な1枚。空のブルーと、水面のエメラルドグリーンの対比がgood!キラキラと水面の反射が輝いている様です。カメラに向かってピースをしているのは作者自身です。どこかのほほんとした笑顔は作者にそっくりです。笑 ピンクの鞄も青や水色といった寒色系の色合いの画面の中で良いアクセントになっていますね。水平線と手すりの斜線が交差する構図も大胆で図形的な面白さがあります。初めての油絵に苦戦していましたが、めげる事なく最後まで描き切りました。 あやね・・・ 富士山と桜、そして五重塔のこれぞ日本の風景という組み合わせ。(実際にこの3つが同時に楽しめると、海外で話題になったそうです。)富士山の山肌の絶妙な色合いが味わい深く、更に手前の鮮やかなピンクの桜が観る人の心を掴むでしょう。桜が密集している質感を出すため、同じ色でベタ塗りするのではなく、少しずつ色を変化させながら点描の様に色を置いています。1962年に建築された歴史ある五重塔ですが、その背後にドンと構える富士山はそれよりも遥かに長い歴史を持っている、そうした対比も面白い1枚です。 あん・・・おしゃれなカフェのクリームソーダを描いています。家族とお出かけした時の思い出の写真なのでしょうか?壁のタイルはアラビアンな雰囲気を持ち、クリームソーダとの組み合わせがお洒落ですね。ソーダの着色された炭酸水に、氷が溶け込んでいる描写も見事に表現されています。丸いバニラアイスも冷たくて美味しそう!もそもそとした表面の質感がよく描けていま...

小学生油絵2023〜4・5年生編〜

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 左上から なゆ4年 たかのぶ4年 左下から ゆうか5年 ゆうし5年 大竹です。今回ご紹介させて頂く油絵は4〜5年生のものです。高学年となると形や色使いだけでなく、選ぶ題材も変わっていくように思います。 なゆ・・・同じ緑色はないといえるほど、沢山の色を作り葉を塗り分けており、その中で鮮やかなピンクの蓮がより引き立っています。仏教ではこの花の上には神様がお座りになりますが、密やかに咲くこの蓮にもどこか神聖な雰囲気が漂います。奥にはこれから咲くであろう蕾が控えており、未来への可能性・希望を暗示しているようにも思います。作者も毎回黙々と制作に取り組んでおり、制作の姿勢が作品のクオリティにそのまま表れているのでしょう。素晴らしい1枚です。 たかのぶ・・・箱根の彫刻の森美術館にある、嘆きの天使の前で妹とツーショット。哀愁を帯びた嘆きの天使は、旅行を楽しむ兄妹につられてか暖かく微笑んでいるようにも思えます。いつも穏やかでのほほんとしているたかのぶさんですが、幼児クラスから見ている限り彼の怒った姿を見たことがありません。最近は少し背伸びしたがりになってきた妹ちゃんに「お兄ちゃん、ちゃんと話いてた?!」「お兄ちゃん、それ全然違うよ!何やってるの!」と少々厳しく当たられても「ごめんね〜」とのほほんと受け流しています。見ているこっちが「少しは言い返してもいいんじゃない…?」と言ってしまいたくなるほど。そんな穏やかな作者の人柄が反映された作品ではないでしょうか。 ゆうか・・・蓮の花に続き、こちらは睡蓮を描いています。暗い水面に睡蓮が映され、静寂と緊迫感のある画面となっています(普段はおふざけ・お喋りが大好きな作者からは想像が出来ないほど…)。内にはこんな世界を秘めていたのかと驚かされました。光を透かす花びらの風合いや、水面に映る姿も細やかに描写されています。背景の黒と花びらのピンクの対比も美しく、目に見えない神様が今まさに降り立っている様にも思えます。油絵では扱いの難しい黒を魅力的に描ける様になれば1人前!しかもシンプルな画面は誤魔化しも効かないのでもっと難しい。さすが5年生と言わざるを得ませんね。 ゆうし・・・ロープウェイと山岳を描いています。爽やかな青い空に山の鮮やかな緑が広がる美しい光景ですね。下地に赤色を使用した為、薄っすらと赤が透けている部分が見られ色に奥行きが与えられ...

小学生の油絵2023〜動物編〜

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 はるや5年 りつか4年 まや3年 ゆい5年 あすか4年 大竹です。小学生の油絵紹介、今回は学年もバラバラですが、動物をテーマにまとめてみました。自分のペットを描く子もいれば、写真集や動物園の写真を持ってきて描く子もいます。 毎年必ず1人は描く子がいる動物画。動物は人気のテーマですね。 はるや・・・油彩で毛の様な細かい描写をする事にハマっているのか、背景までもスーラを思わせる綿密な点描で仕上げています。マヌルネコの中央に寄った顔のパーツとペロリと鼻を舐める舌の組み合わせが剽軽で可愛いらしい。もこもことした毛並みは触れれば毛の中に手が埋もれていきそうな質感が感じられます。作者自身も制作に対する意欲が高く、積極的に技術を吸収しようという姿勢が普段から見て取れます。しかし、肩に力を入れて頑張っている、というよりも楽しんでいる様子ですので、来年はより一層良い作品を作っていくのだろうと思います。 りつか・・・おしゃべり好きで常にニコニコしている作者にそっくりの、愛嬌のある表情が魅力的な1枚。生き生きとした緑に気持ちの良い空は、作者の心境が正にそのまま現れている様にも思えます。油絵は1色で塗るのではなく、様々な色を混色しながらキャンバスに乗せていく事を理解し、白い毛並みも白以外の色をふんだんに使って表現しています。茶色い体毛の滑らかなタッチはあえて変えているのか、それとも無意識にやっているのか? まや・・・鮮やかな色合いの背景がパズルの様に色が組み合わさっており、白と黒の無彩色の猫との対比が不思議な魅力を作り出しています。背景は色分けのみで殆ど描写されていないのに、その中で扇風機だけがポツンと置かれているのもシュールで面白く、作者の関心が向いているものの1つなのかと思わず想像してしまいます。行儀よく揃えられた前足と、首を傾げてこちらを見つめるまん丸の目が鑑賞者の心を掴んで離さない事でしょう。毛並みの細やかな点描の描写は、普段はあっちコッチに興味が向いて席を離れがちなまやさんが、気がついたら完成させており「いつの間に⁈」と講師を驚かせました。 ゆい・・・油絵はずっとイルカを描く!と決めて続けているイルカシリーズ。進級と共に技術力も上がっていっています。つぶらな瞳とぽやんとしか表情が可愛らしく、作者のイルカへの愛が込められているのが伝わります。透明な物の描写には苦戦しつつ、...

小学生の油絵2023 ~2~3年生編~

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左上から こはる2年 りあな2年 るい3年 左下から かれん3年 はる2年 りず3年 大竹です。油絵紹介第3弾は2年生と3年生をご紹介いたします。幼児クラスから通っているアトリエ歴の長い子もいれば、油絵カリキュラム期間に入会した新参さんも入り混じっております。 こはる・・・7月の途中からの入会で描き始めた初の油彩画でしたが、とても色彩豊かに仕上げる事が出来ました。子猫がポテポテと歩いてくる可愛らしい様子が伝わってきますね。体毛も茶色だけでなく、グレーや青まで使って描いています。背景の日の光が当たる草原も綺麗ですね!原っぱの匂いや陽の暖かさが感じられるようです。普段は黙々と職人の様に制作に打ち込んでいますが、元気に駆け回る子猫の絵を見ていると、実は心の中ではテンションも高いのかしら…?と思ったりしました。笑 りあな・・・青い空と海を眺める自分を描いています。空と海でそれぞれ違う青を作っている所はさすが幼児クラスからの経験者ですね。雲のドットのにも見えるつぶつぶとした表現も魅力的です。青と対比するかの様な赤いワンピースも良いコントラストですね!赤海を見る作者の背中からは明るい未来の予感を見る者に与えてくれる様です。青い海も浅瀬と深間で色の濃さを変えて描かれているのもよく観察していますね。作者の見つめる先には広大な未知とまだ見ぬ希望が待っているかの様な、明るい行先を予感させてくれる1枚だと思います。 るい・・・野球のバットとボール、グローブや帽子から作者が今一番打ち込んでいるものが分かりますね。後ろの金ピカの賞状はこれまで取ったものなのか、それともこれから目指したいものなのでしょうか?野球道具たちの使い込まれた様子もよく表現できています。金属バットの重量感、何度もボールを打ち込んだ跡が伝わってきますね。野球に打ち込んだ経験のある大人が見たらノスタルジーな気持ちになってしまうのではないでしょうか?床の青や壁の黄土色も、土と青空の野球のグラウンドを連想させてくれるようです。 かれん・・・甘いスイーツが画面いっぱいに描かれており、ピンクと青のコントラストが効いた1枚です。ピンクまみれの中でよくこれだけたくさんの物を描き分けたものだと感心してしまいます。全体はキラキラを輝いている様にも見え、まるで宝石箱の中を覗いたかのような1枚ですね。メインのケーキは黄色いお皿に盛り付けされ、さ...

小学生の油絵2023 ~1年生編その2~

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  左から かなで1年 りょうすけ1年 めいこ1年 はづき2年 めい1年 大竹です。油絵紹介第2弾、引き続き1年生と2年生の作品をご紹介いたします。小学校で油絵をやることはまずないと思いますが(掃除が大変・画材が高価・乾燥に時間がかかるなどの理由で)、出来上がった油彩作品を見ているともったいない気持ちにもなってきてしまいますね。 かなでさん・・・大人が見れば10人中100人がかのサメ映画の恐怖を思い出す1枚なのではないでしょうか。海から勢いよく顔を出し、こちらを捕食しようとするサメの本能・力強さがよく描かれています。本人は穏やかで口調もおっとりしている子なので、作者とのギャップもまた面白いですね。サメの肌の青色と、海面の青色の塗り分けがしっかり出来ていますね。サメの下半分の肌もただの白でなく、様々な色を使用しながら作られており大人顔負けの描写力です。 りょうすけ さん・・・私自身も江ノ島が好きで、この絵を見ると無性に江ノ島に行きたくなってしまいます。(早速江ノ島に行く予定を入れちゃいました。)緑の江ノ電と、青い空と海の対比が美しく、電車の音や潮の匂いまでが伝わってくるようですね。線路の横線、柵の縦線の対比も面白く、少し抽象的に見ても楽しめる1枚だと思います。江ノ島の魅力と共に、色と形の面白さを見る人に教えてくれるでしょう。 めいこさん・・・油彩初挑戦で人物を4人描くというなかなか難しいモチーフにチャレンジしました。ふんだんに使われた色合いからも、作者の家族の楽しい思い出の気持ちが伝わってきますね。人の肌の表現も様々な色を混ぜて表現できています。1人1人の表情の違いもよくぞここまで描ききった!と拍手を送りたいと思います。大人が描いてもすごく大変な構図を、油絵に初挑戦の1年生がここまで描いてしまえるのですから、大人も頑張らなくてはなりませんね。 はづきさん・・・爽やかな海辺の写真を描いています。海の深い青色と、中央に立つ小さな小屋のピンクの対比が可愛らしい1枚ですね。遠くの風景はぼやけて滲んだように見えるものですが、その表現も(本人は意図していない部分なのでしょうが)よく描けています。空がほとんど白い雲に覆われているのも良いですね、海の青色がより引き立ちます。開放的な風景は、普段の作者の様子や心情がよく表れているように感じられます。 めいさん・・・12色の限られ...